今日はマニス ガルンガン。村々からのバロンが大集合する日

バリ島

ガルンガンの翌日は、マニス・ガルンガン。

近所や親族を挨拶回りしながらラワール料理を食べる日である。それでは昨日と同じではないかという気がするが、今日の方がずっと忙しいらしい。子供たちは、行く先々でお菓子をもらえるこの日を心待ちにしているそうだ。まさしく盆と正月が一緒に来たような数日間だ。

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善なる神さまバロンはガルンガン中は毎日のようにジャランジャラン(散歩)している。

そしてこの日、ウブドの北にあるプアカン村には周辺の村々からはるばるバロンが何十体も集まってくるという。それはすごい光景に違いない。旅写真家のぼくが出かけないわけにはいかないので、さっそく愛機ニコンD7000を肩にしてバイクのエンジンをかけた。ペンジョールが並ぶ美しい通りを過ぎるとプアカン村である。

バロンが集まるお寺へと通じる道は、お供えを持った人々であふれている。
一体どれだけの人が集まるのか知れない。

聞けば近隣28の村からバロンが集まってくるという。ひとつの村から500人×28として約1万5千人くらいか(数字に根拠はありません)。

近隣の村人は総出で繰り出すから実際にはもっと多いだろう。最も遠方なのはウブド北方のスバリ村なので徒歩20時間くらいかかけてバロンとともに歩いて来るそうだ。と聞いて感心していたが、しかしバリ島もモータリゼーションの時代に入り、数年前からトラックに乗って来るようになったので今では20分くらいで着いてしまうらしい。

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だんだん人が多くなり、道一杯にあふれてきた。とてもじゃないがバイクに乗っていられなくなったので、適当なところに停めて皆さんと一緒に歩くことにした。まだまだ先は長い。

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振りかえると、善なる神さまバロンがやってくる。

バレガンジュール(移動音楽隊)をお供にしているから、響くガムランの音でそれと分かる。この音色は何度聞いてもワクワクする。

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いよいよお寺の門から入場。

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お寺の境内は大変な混雑ぶりである。
しかし混乱しているわけではなく、人々は神々に参拝しながら整然と境内を移動している。バリ島なりの秩序があって、誰が指示するわけでもなく全体が動いている。

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寺の前方にはずらりとお供物が並べられていた。規模の大きいお祭りだし神さまに捧げる大切な供物だから質のいいお供えものばかり。果物は主にリンゴだ。マンゴーでもパパイヤでもランブータンでもなくリンゴなのは、バリ島では採れない高級品だからだである。どうせならランブータンが美味しいんけど。というのはぼくの意見。

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善なる神さまバロンが並び始めた。
どうしてこの寺にバロンが集うかというと、バロン同士がここに話をしに来るんだそうだ。神さま同士の近況報告なのか、情報交換なのか、どんな会話をされているのか分からない。その会話を聞けるのは一部のマンクー(僧侶)だけである。

ここでの写真は主にAF-S DX 12-24mm f/4で撮影している。
このレンズは発色が鮮明で、抜けがよく、透明感のあるイキイキとした描写をする。性能が高いにもかかわらず軽量で、こうしたスナップ撮影に最適なレンズだ。世界中どこへ行くときも持ち歩いている。

鈴の音が響くと、それまでざわついていた境内が一瞬にして静かになる。
善なる神さまに相対して、手を合わせて祈りを深める。

この日は、ずっとお寺にいた。

バリ島ではいつもそうだが儀式が始まる時刻は決まっているようで決まっていない。全員が揃ったら始まるらしいのだが、それが何時なのか誰も明確には知らない。今回は、いちおう集合時刻があるのだが、それに遅れてきたバロンがいらしたから、なかなか始まらなかった。このバロンは今日の会合の参加にあまり気乗りがしなかったらしく途中で道草を食っていらしたそうだ。だから皆、ずっとお寺でバロンの到着を待っていた。

そして、一連の儀式は滞りなく終わった。見上げるとそれまでの曇り空が青空にとかわり、強い西日が差していた。

すべてのバロンはきた道を戻ってゆく。
帰途はみなが一斉に歩き始めるから、参道は午前にも増して長い行列ができる。

あんまり人が多くて、ただでさえ暑いのに通りは人いきれでうだるほどだ。道端の雑貨小屋でコーヒーを飲んで休むことにした。
こういう店で出されるのはおなじみコピバリ。コーヒーと言うより、コーヒー味の何かという感じの飲み物である。ガラスのコップを持ってゆっくりしている間に、いつしか人が捌けていく。それと共に日が陰ってくる。やがて通りはほとんど人がいなくなる。

祭りの後の静かな空間にいると、不思議な高揚感と、いくばくかの寂しさが同時に心に宿る。

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