【ポルト】世界一美しい本屋、レロ書店はインスタ映えで人気絶頂

ポルトガル

ポルトガル第二の都市、ポルトには「世界で最も美しい書店」との誉れ高いレロ書店(レロ イ イルマオン)がある。ぼくはずいぶん前に行ったことがあるのだが、当時使っていたのはフィルムカメラだったしそのうえ店内撮影禁止だったから、内観の写真は持っていない。

この夏、久しぶりに訪れたら店はすっかり様子が変わって大勢のツーリストに囲まれていたので驚いた。

ポルトのレロ書店の外観

すっかり観光名所になっていた。

インスタ映え書店は約500円の入場券が必要

なんでも最近は、観光とSNSの発展によって観光客が増えたことで書店の方針が変わり、なんと客から入場料をとることにしたそうだ。そして客が写真を撮ってその場でSNSにアップできるように店内はFree WiFiが完備してる。

入場待ちの列は50m以上にも連なっていた。ここは本当に本屋なのだろうか。この前来たときは店内はガラガラだったのだが。だって単なる書店だし。

呆然としたがすぐに我に返り、ランチ時なら空いているかもと考えて、時間をあらためて午後2時ごろ来た。そしたら列は40mほどになっていた。 なんだほとんど長さは変わらないじゃん。しかし天気はすっかり快晴になっていたからまあいいか。

入場券は、4軒となりの、角にある建物のなかで売っていた。1人4ユーロ(約520円)。もし店内で本を買えば4ユーロを割引してくれる。それにしてもチケット売り場の方が大きい建物とは不思議なこともあるものだ。

レロ書店の切符売場の外観

チケット売り場の奧にコインロッカーが設置され、荷物を置いて店内に入れるように配慮されている。コインロッカーの料金は1ユーロ。

レロ書店の切符売場

さらに奧にはテーブルが並び、自動販売機でコーヒーを買って休めるようになっている。どうやら、かなりデキル人がプロデュースしているようだ。

ポルトのレロ書店の外観

というわけで、40mの列の最後尾についた。

待ち時間は意外に少なく入店できた

列についてから分かったが進み具合は結構早い。よく考えたら、いかに内装が美しいといってもしょせんはポルトガル語の書店だから外国人ツーリストが長居をするわけではなく、彼らは写真を撮ってSNSにアップしたらさっさと店を出ていくから回転が速いのだった。出直す必要はなかったな。

外観の装飾はこんなかんじ。ネオゴシックとアールヌーヴォーがミックスしたデザイン。ステキですね。

レロ書店の外観装飾はネオゴシックとアールヌーヴォー

ちょっと並んだだけですんなりと店内に入れた。

レロ書店の内観

みんな写真撮影に余念がない。

レロ書店の天井ステンドグラス

天井はステンドグラスになっている。

20世紀初頭のモダン建築

レロ イ イルマオン Livraria Lello & Irmão は1869年創業の書店で、現在ある店舗は1909年に建てられたものだ。ちょうど、アールヌーヴォーからアールデコに移る時代の建築なので、外観はアールヌーヴォーながら内装はアールデコなかんじ。両方がミックスしていておもしろい。

レロ書店の内観

世界一美しい書店は大繁盛

店名の「レロ イ イルマオン」は「レロ兄弟書店」という意味で、レロはアンジェロの略称。レロ イ イルマオンという呼び名は創業時の名称で、現在は単にレロ書店 Livraria Lelloという。

ポルトガル人には、店内で本をよく探している人もいる。

レロ書店で本を探す女性

ぼくも本屋が好きだから、こうして本をじっと見ている人がいるとホッとする。

レジにも行列ができていて大繁盛だ。

日本人と違ってヨーロッパ人はそれほど本を読まないから、本屋のレジに行列ができるなんてめずらしい光景だなあ、と思ったが、これもよく考えたら本を買えば入場料4ユーロの元が取れるからなのだった。

書店で本を買う人々

いくつもあるレジはいずれも大忙しの様子。

店の中央にある螺旋状の階段は「天国への階段」と呼ばれるほど美しい。と聞いていたが、客が多すぎるのか赤い塗装が擦り切れていた。でも店内が薄暗くてよく見えないし、歴史的建造物っぽい雰囲気を醸しだしていた。

レロ書店の天国への階段

確かに美しい建築です。

レロ書店の内観

でも人が多い。

店員にきいたら、常時150〜200人程度の客が店内にいるらしい。

入場券をQRコードで管理しているから定員制なのかと思ったが別にそういうわけではなく、入場券チェック係に訊いたら「数えていないし定員もない」と言ってた。客はどんどん入るけど、同じペースでどんどん出ていくから店内が朝の山手線のプラットホーム状態にはならないようだ。

レロ書店の2階から1階を見渡す

ハリー ポッターの作者ローリング女史は2階でお茶していた

2階の窓際では水を売っている。

書店で売られているミネラルウォーター

店のマークが貼り付けられている。それだけで2.50ユーロもするとは商売上手な店ですな。このマークは天井のステンドグラスの中央にも描かれている。

入場料徴収以前はこの2階窓際の位置にカフェがあり、小さな四角いテーブルが3つか4つ置かれていた。メニューはカフェ(エスプレッソ)や紅茶などがいくつかあるだけの本当に小さなスペースで、客はほとんどいなかったが、ハリー ポッターの作者J K ローリングはこのカフェがお気に入りだったらしい。

レロ書店の内観

ローリング女史はポルトで英語教師をしていたことがあり、処女作「ハリー・ポッターと賢者の石」の第3章までは在住中に執筆されていた。そのため初期作品の各所にポルトの風景が反映されているといわれている。魔法界の書籍を商うフローリッシュ アンド ブロッツ書店のイメージはレロ書店から着想を得たそうだ。いわれてみれば2階建てのところが似ている。しかしそれ以外の共通点はないような気もしないでもない。要素を取りいれた、というところか。

レロ書店がホグワーツ魔法学校のモデル説はデタラメだよ

ネット上には、レロ書店はホグワーツ魔法学校のモデルになったとか、ハリー ポッターの撮影ロケ地になったとか、デタラメなまとめ記事があふれている。

映画を観れば分かることだが、ホグワーツ魔法学校は大自然に建つ巨大な城で、スコットランドの建築だ。ハリポタファンの間では、外観やロケーションが似ていることから主なモデルはエジンバラ城だとされている。

ポルトガルから帰国後のローリング女史はエジンバラに住み、子育てをしながらカフェに通ってハリーポッターを書き上げた。女史はねっからの本とカフェ好きなのだろうね。そして毎日見上げていたことだろうエジンバラ城を作品の舞台にした。

Castle 814993英国スコットランドのエジンバラ城 Creative Commons

ホグワーツ魔法学校がポルトガルの小さな書店と似ているところはひとつもない。それなのにまとめ記事ライターたちは「そっくり」と書いているのだ。彼らはポルトガルを訪れたこともなければ、ハリーポッターの映画を見たこともないのに、ネット上から文章を集めて記事を書き散らしているため大間違いが多い。

当記事をアップしてから半年後。久しぶりにネットをみたら「レロ書店はホグワーツ魔法学校のモデル」と書かれたまとめ記事が激減していた。そのかわりに「ホグワーツ魔法学校の図書館のモデル」という記事が散見される。まとめ記事のライターは適宜ネットをみて修正しているのだと感心した。とはいえ、彼らは訪れたことがない場所について書いているから、あいかわらず間違いが多い。記事を削除すればいいのにね。

レロ書店を世界一美しい書店に選んだのは英国の新聞

2008年、英国の新聞The Gardian紙が特集で「世界の書店十選」" The 10 bookshops from around the world“のひとつにレロ書店を選んだことで、もともと有名だった同書店はネット界でもその名が知られるようになった。

レロ書店は「世界の書店十選」の3番目に紹介されていることから、『レロ書店は世界で3番目に美しい書店』と書いているネットの記事を見かける。しかし、ガーディアン紙の記事は順不同の10店で、いいかえれば英語的な「いくつもある1位」ということ。

余談だが「十選」には京都の恵文社一乗寺店も選ばれている。日本人として嬉しい。

一日中盛況なレロ書店

レロ書店の天井の木調は仏教のマークに見える。花弁も8枚あるし。本当はたぶん、古くから伝わるイエス キリストのシンボルXP(十字を2つ重ねた紋章)をイメージしたデザインだろう。XPは教会の装飾、特に正門によく見られる。8は∞に通じるので神を表している、という意味もある。仏教とイエスのシンボルがそっくりなのは面白い現象だ。

天井装飾の木彫はキリストのシンボル

入場料を徴収しはじめたのは2015年6月からということだが、大成功だったようだ。儲かって仕方がないだろう。

レロ書店の内観

店内を一巡りしたし、そろそろ帰るか。

書店内はお客が多い

なんとなく名残惜しい。

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ポルト旧市街はユネスコの世界遺産だが、レロ書店は?

ポルト旧市街、ドウロ川両岸の丘陵一帯は、ユネスコの世界遺産に登録されている。

世界遺産のポルトをドウロ川から眺める

世界遺産の指定地域は、ちょうど上の写真に見える範囲で、その向こうは範囲外。レロ書店は世界遺産地域の外にある。もちろん、レロ書店そのものが世界遺産に登録されているわけではない。

レロ書店の住所はこちら

レロ書店の営業時間

営業日:日〜土:9時30分~19時00分

正確にいえば世界遺産指定地域は、レロ書店の南側に建つ時計塔Clérigos Towerまで。レロ書店は範囲外。上の写真でもその時計塔が見えるけど、分かりますでしょうか。

書店そのものは「世界一美しい」と評されるだけあって一見の価値あるもの。ポルトに来たならぜひ訪れてほしい。

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