夜のアルハンブラ宮殿

スペイン

アルハンブラは、もともとはアラビア語でアル ハムラ(al-ḥamrā 赤い城)と呼ばれていた。それが後にスペイン語で、ラ アルハンブラ(La Alhambra)と呼ばれるようになったといわれている。

興味深いのは、ここにはLa とAlのふたつの定冠詞がついていること。
Laはスペイン語の定冠詞、Alはアラビア語系の定冠詞だ。

定冠詞は本来ひとつしかつかない筈だが、ここでは違う言語のそれがふたつ付いている。ぼくはこの名称に、アラブとヨーロッパ、あるいはイスラムとカトリックの、歴史的文化的な融合を感じる。異なる文明の衝突によって生まれた新しい文化を象徴しているように感じるのだ。

アルハムラ(赤い城)という名称の由来は不明だそうだ。

アルハンブラの外観は黄土色だし、内観も、現在はもちろん往年にも赤いところはなかった。インドのデリーにはムガル帝国の宮殿”ラールキラー(赤い城)”があるのだが、あちらは赤砂岩をつかって建てられたから本当に赤い色をしている。赤い城塞と呼ぶからにはああでなければならない。しかしこちらは、どこにも赤いところがない。

一説には、イスラム王国時代に、夜のかがり火が煌々として、平野の遠くからでも城塞が赤々と見えたからそう呼ばれたと言われている。

夜のアルハンブラを訪れ、照明に浮かび上がるナスル朝宮殿を見ていると、その美しさから昔日の繁栄がうかがい知れる。そして、夜の光に浮かび上がるのが「アルハンブラ」だという説に、同意をせずにはいられない。

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