ユーロ・バブルの残滓

スペイン

ユーロ導入後のバブル経済期には、スペイン各地で、鉄道・道路・箱物建設が進められ、すごい勢いでインフラが整っていった。

バブル経済はかつて日本も通ったことのある道だから、いずれバブルは崩壊するし、崩壊したらどうなるかを、日本人はよくわかっていた。しかし、スペイン人は「それは日本人が愚かだったから。スペインのバブルに終焉は来ない」と断言していたものだった。

リーマンショック以降、バブルが崩壊すると、スペイン各地で、建設中の物件の工事が一斉に止まってしまった。ここグラナダでも、メトロ工事が止まって一年以上が経つ。人口24万人のグラナダにはもともとメトロの必要性は少なかったのだが、例によって政治家が強引に予算を付けて計画を進めたそうだ。ここまで工事を進めたのにほったらかして、今後はどうするのだろうか?

もっとも、グラナダの工事はまだ始まって間もないから、ある意味では軽傷で済んでいるともいえなくもない。グラナダから北へ90kmの、人口12万人のハエンでは、昨年春にメトロ工事が完成している。大通りの二車線をつぶして線路を敷き、ホームをつくり、車両もあるのに、運転(運営)が始められないまま一年以上が過ぎている。一体どうなっているのだろうか。

こうした工事につぎ込まれた予算は、みな借金である。回収の見込みがなさそうな借金は、積み重なって今後スペイン国民に重くのしかかる。

そんなスペインを見て、「あれは今のことしか考えないスペイン人のすることだから仕方がない。日本人は計画性があるから借金で首が回らなくなる状況にはならない」と断言したいところだが、日本の今年度の国家予算は90兆円なのに税収入は42兆円しかないという状況をみるに、スペイン人も日本人も問題を先送りする体質には大きな違いはないのではないか。そして将来、我が国はもっと大変なことになるのではないかと案ぜずにはいられない。

    火の車 つくる大工は なけれども おのがつくりて おのが乗りゆく

道歌拾遺集に詠まれる歌が身にしみる。

平安時代の和歌だが、現代のスペインにも日本にも通じている。

ところで、グラナダやハエンのメトロは、地下ではなく地上を走っているから、トラム(市電)と呼んだほうが実際の姿を現している。なぜメトロと呼ばれているのだろう? もっともグラナダのそれは永遠に姿を現さないかもしれないから、なんと呼んだらいいのかは分からない。