5年に一度の火葬

バリ島

今日は、ウブドの5年に一度の合同火葬の日。

バリ島では、葬式は大変な費用と時間がかかる儀式のため、庶民は村ごとにまとめて行うのが一般的だ。ある程度裕福な家ならいつでも葬式を出せるが、庶民は、亡くなると葬式の日をひたすらじっと何年でも待つのである。

この日、ウブドでは3つのバンジャールが集まって、過去5年分たまった葬儀を一度に行った。

午前11時半、まず庶民の棺が移送される。

バリタイムという言葉があるくらい催し物の進行が読めないバリでも、なぜか葬儀だけは時間通りに進む。王族の棺の移送開始は正午の予定で、こちらもほぼ予定時刻通りにスタートした。大規模な儀式にしては珍しいことだ。

棺は、御輿として男たちが担ぐ。日本の祭りとほとんど同じ雰囲気で、大きなかけ声をかけ、ぐるぐる回ったりしながら進んでいく。死者が戻って来ないためにする儀式なのだそうだ。知らないで見たら葬儀とは思えないだろう。かけ声をあげる男がちが担ぐ棺は途切れることなく続く。その数なんと64体。

ふだんは交通量が多いジャランラヤも、この日は車は完全に遮断されている。車が走っていないこの道を見ると20世紀ののどかな時代を思い出す。かつてはこれが普通の光景だった。

御輿を担ぐ男たちの額から、玉の汗が飛ぶ。

大きな葬送塔は装飾が素晴らしい。

王族の火葬は、王宮から東へ2kmほどにある、バンジャールテベサヨの寺院前で行われる。
この寺院前はぼくが初めてウブドに来たときに、バトゥブランから乗ってきたベモを下りた思い出の場所。ぼくはウブドというとこの寺院と樹木をまず思い出す。この寺院前の広場が火葬場だとは、当時は知らなかった。

火が付くと、燃え尽きるのはあっという間だ。

一方、庶民の皆さんの火葬は、王宮から西へ500mほどの墓地で行われる。

王族の火葬はプレボン、庶民はガベンといって名称が異なる。同日同時刻に同じ場所から始まった葬式だが、名称と火葬場が別であるごとく両者は別の儀式。ともあれ旅行者の視点からすれば2つの盛大な葬儀が同時進行したのだから見応えがあってよかった。

庶民の棺に火がくべられ、64の棺すべてが焼き終わるころには、もう日が沈んで暗くなっていた。
焼くのが終わっても葬儀は続いている。

ぼくは、残り火が見える以外には真っ暗になったところで墓地を後にした。けれどもその後、夜11時にジャランラヤを通ったら渋滞でしばらく動けなかった。お供物を持った女性たちも歩いている。何でも葬儀は翌朝まで続いているそうだ。

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