カメラが欲しい病 – 2

撮影機材

日本に帰国したら、あまりに寒かった。
例年なら12月はもっと気温が穏やかなはず。今年は寒さが厳しいのかな。
バリ島で緩んだ筋肉が固くなっている。昨日は、靴を履く時にふくらはぎがつってしまった。

こんなに寒いと病気になってしまいそうだ。だからという訳ではないが、南洋滞在中は治まっていたカメラが欲しい病が、再発した。
最近のぼくは2台のニコンD7000を持って撮影に出かける。

レンズはそれぞれに12-24/f4、24-120/f4を装着。135フルサイズでいえば18mmから180mmまでをこの2本でカバーできるから、スナップには便利な組み合わせだ。

AF-S 12-24/f4 は格好もいいし描写もよくて、以前ブログに書いたように気に入っているレンズ。が、しかしこのところ、大変優秀な広角ズームレンズが3本、各社から相次いで発表され、これも気になっている。それは、

  ・ フジフィルムの10-24mm F4 OIS (135換算15-36mm)
  ・ ソニーのE 10-18mm F4 OSS (135換算15-27mm)
  ・ パナソニック G VARIO 7-14mm F4 (135換算14-28mm)

いずれもニコン製品ではない、ミラーレスカメラのレンズ。
ということはボディを持っていないから、もし買うとしたらカメラも同時購入しなければならない。検討しているボディはそれぞれFujifilm XE-1、Sony NEX-6、Panasonic GH3。

それぞれ、気になる点を簡単に検討してみる。

フジフィルム 10-24mm F4 OIS

X-Pro1やX-E1用のXFレンズ。
本年6月に発表され、2013年に発売予定。当然、実物は見たことがないが、いま一番気になっているレンズ。

そして、X-E1は、今、ぼくが最も興味を持っているカメラ。

なんてったってフジフィルムのカメラだから、画像エンジンはニコンやキヤノンはもちろん全てのカメラメーカーの中で最も優れている(筈)。それにクラシカルなデザインもいい感じ。しかしながらフジフィルムのカメラだから、操作性や機動性に疑問がある。ぼくはFujifilm S5proのユーザーなんでフジのカメラの良さも悪さも身にしみている。実物を手にとってよくチェックしないと。

で、来年発売予定の10-24mm F4 OISだが、これも何てったってフジノンレンズだから画質はよい(筈)。しかも手ぶれ補正機能もついているから手持ちの屋内撮影も難なくこなせるだろう。

X-E1+10-24/4 OISの組み合わせですぐに思いつく良い点は、

1)小型軽量。おそらく合計600g程度。Nikon D7000ボディ単体よりも軽い。
1)画質が最高に良い(筈)
2)ホワイトバランスも最高に良い(筈)
3)ダイナミックレンジは最高に広い(筈)

といったところ。これで写真を撮ったことはないし、レンズが未発売だから「よい」と想像しているだけなんだけど、この予想は外れないだろう。
逆に問題点は、

1)RAWを現像するフジフィルム純正ソフトが存在しない。
  付属のSilkypixは純正とはいえない。
2)他社のソフトでRAW現像したら、フジの画像エンジンが使えない。
  それでは魅力半減、フジのカメラを選ぶ必然性があまりない。
3)モックアップレンズの写真を見ると、ズームリングの10mm域〜18mm域の幅がとても狭く、18mm〜24mmまでが広い。ということは、広角側の焦点距離設定が少しやりにくいレンズかも。

などとあれこれ思案しながらも、現在最も期待しているカメラとレンズである。
次はこれ。

ソニー E 10-18mm F4 OSS

ソニーのNEXシリーズ用のレンズ。本年11月に発売されたばかり。

NEXは、2010年に発売されたAPSサイズのミラーレスカメラシリーズ。

ぼくからみて、ソニーはカメラメーカーとして何をやりたいんだかよく分からない会社だった。新しく打ち出されたNEXシリーズは、ボディが非常に薄くて、コンパクトさと斬新さとを併せ持つコンセプトのカメラだということは分かるのだが、いくらボディを薄く設計したところでレンズはそれなりに大きいのだからこれではバランスが悪く感じる。何というか、デザイン先行で開発されて、使い勝手はイマイチ、華奢で耐久性も心配、そんな悪しき「ソニーらしさ」を感じさせるカメラで、ぜんぜん魅力を感じなかった。先月までは。

それがこの11月に、E 10-18mm F4 OSSという広角ズームレンズが発売されたことで、印象がガラリと変わった。それまで凡庸なスペックのレンズしかラインナップされていなかったNEXに、突然高性能な製品が加わった。そして、どうやらこのレンズは非常に描写力が高いらしい。

嬉しいことに手ぶれ補正機能もついている。プレスリリースの写真を見ると、デザインもなかなかよい感じだ。フードも効果的に見える。「写真はレンズで決まる」というフレーズを半分信じているぼくの前に、颯爽と現れた、魅力的なレンズであった。

でもねー。
ソニーの人と話していると「写真を撮る」というところを「静止画を撮る」という言い方をする。これにはフォトグラファーとしては釈然としないところだ。もともと電器屋さんだから「フォトグラフィー」だと思っていないみたい。

写真には、情緒的なものも写り込むんだけど、もしかしてそういう話をしても理解できない雰囲気を感じる。「きれいな静止画が撮れますよ」という人たちが作ったカメラって、どうなんだろう。

もうひとつはこれ。

パナソニック G VARIO 7-14mm F4

重量わずか300gの小型レンズながら大変画質がよいという評判のレンズで、
実は2009年に発売された当初からかなり気になっていた。

ところで、現在あまたある広角ズームのなかでも最も画質がよいとされるのはフルサイズのニコンAF-S 14-24 F2.8 。世にあるほとんどの単焦点レンズをも凌ぐ性能を持つ、宇宙一優れた広角ズームレンズとされている。それほど凄いレンズだが、問題は重量できっかり1kgもある。よいレンズは必ず重いものだからこれは当たり前のことだけど、ぼくにはちょっと重すぎる。

そこで、ニコンAF-S 14-24 F2.8には及ばないものの、迫る性能をもつ小型軽量なパナソニック 7-14mm F4 に魅力を感じていた。

それにマイクロフォーサーズ規格のよいところは、被写界深度がフルサイズに比べて2段分深いから、あまり絞らずともパンフォーカスな写真が撮れること。f5.6でフルサイズf11と同じ被写界深度が得られるのだ。

しかし、いかにレンズが素晴らしくとも、やはりここも電器屋さんで、ボディの魅力が薄い。で、このレンズはマイクロフォーサーズ規格だからオリンパスのカメラにも付けられるということから、ボディをオリンパスOM-Dとすることも考えた。OM-Dは、以前ブログで書いたように、OM-4というよりOM-40という印象のカジュアルなカメラだが、市場の評価は高い。それにオリンパスは手ぶれ補正機能がカメラボディ内蔵だから、パナソニック 7-14mm F4 でも手ぶれ補正される。

この組み合わせはいいことずくめのようだが、ひとつ大きな問題がある。愛用のCapture OneでRAW現像したときになぜか歪曲収差補正が効かないのだ。デジタル補正することを前提に設計されているマイクロフォーサーズレンズで、これはイタイ。C1側が対応していないだけだと思うが、真の理由はわからない。ただし、Lightroomなら歪曲収差補正は有効だ。それならそっちを使えばよいだけの話なのだが、現在のところC1をメインにしているぼくとしては、C1が使えないのでは躊躇してしまう。

それから本レンズでは、写真をPCで閲覧するときに縦位置と横位置の区別がなされずすべて横位置写真として並んでしまい、作業効率に影響を与えることも懸念材料のひとつ。

と、パナソニック7-14mm F4を諦めかけていたところへ、つい先週、颯爽と発売されたボディがパナソニックGH3。このカメラは、パナソニック初のプロユーザーをターゲットに開発されたということで、操作性・機動性・画質など、いずれも高い水準でクリアしているらしい。また、レンズとボディがパナソニック同士ならC1の収差補正もちゃんと機能する。だが、雑誌やネットの評判は当てにならないから、実物を手に取ってみるまでは判断できない。

だいたい、フジも、ソニーも、パナソニックも、プロ使用に耐えるスティルカメラを作ったことがないから、ボディの総合的な性能がどのくらい信頼できるか、分からない(フジはGX680など優れた中判カメラがあるけど、カテゴリーが違いすぎて同列に扱えない)。

もちろん、いくらなんでもミラーレスカメラに、ニコンの一眼レフシステムを置き換えるだけの性能を期待しているわけではない。ぼくはただ、持ち歩きやすい、優れた画質の広角ズームレンズがほしいだけなのだ。

マウント内側にミラーがない(だから一眼レフではなくミラーレスと呼ばれる)これらのカメラは、フランジバックを長くとらねばらならないというレンズ設計の制約から完全に開放されている。だから広角レンズを設計するのに自由度が高く、当然、高い性能が期待できる。高画質で小型軽量なら、旅行写真家のぼくに最適な広角ズームレンズといえる。

しかしながら、ミラーレスカメラは、レンズの設計には制約がなくても、ボディ側に問題が多い。
前述のように現像ソフトが上手く機能していなかったり、ファインダーの見え方が一眼レフに及ばなかったりと、どうもシステムがこなれていない。現状では、何かが良くても別の何かがダメダメ、という有様だが、カメラが欲しい病が発病してしまった以上、病状は深まる一方、どれかを購入しないと快癒しないだろう。

もしかしたらカメラが欲しい病というよりも、レンズが欲しい病かもしれないが、こうして悩んでいても病は癒えない。一日も早い回復を願って、カメラ屋に実物を見に行ってみなければ。

<追記>その後、パナ7-14/4とソニー10-18/4を両方とも買ってしまった。どっちもいいレンズだよ。

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Posted by ariga masahiro