バリ島トゥガナン村、美女と美男たちの恋の踊り

バリ島

チャンディダサ海岸から車でほんの7分ほど走れば、バリ島で最も保守的な村といわれるトゥガナン村(テンガナン村)に着く。

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テンガナン村は15世紀以前のバリ人の風習を残す、バリでも特殊な村なのだ。住宅地の周囲は壁で囲まれ、他のバリ人との交流は限られている。宗教もヒンドゥーではあるが、村外とはその在り方が大きく違う。バリの寺院や屋敷の正門に必ず見られる独特な割れ門も村にはない。

こうした村を「バリアガの村」といって、バリ島には4つあり、なかでもテンガナンはもっとも古くから変化を拒んでいる村だった。

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トゥガナン村には独自の暦があり、今年は1月30日に新年を迎えた。正月の祝いや、神々への礼拝が毎日行われ、7日目の2月5日は待望のアブアン ダンスの日だ。

この日、未婚の娘たちは代々家に伝わるアンティークのダブルイカットを身にまとい、純金のグルンガン(髪飾り)をつけて、胸には装飾品として古いUSドルの金貨を下げて晴れ舞台に望む。いかにも「あたしは価値のある娘なのよ」と言わんばかりの装いだ。

ダブルイカットはトゥガナン村の特産品で、村の女たちが織っている。

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いやあ、きれいだね。「ぼくと一緒に村を出よう!」と口説いて、そのまま日本まで連れ帰りたくなってしまうよなあ。こんな美人がテンガナンには結構いるのだ。肌の色も白い。

対して、未婚の青年たちも伝統衣装で現れる。

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たくましい半裸の装いが魅力的だ。
男のぼくが見ても「格好いいなあ」と思ってしまう。これなら女たちがフラッとくるのも無理はない(どこの女とは申しませんが)。

アブアン ダンスは、意中の娘が踊っているところへ、青年が思いを披露するために彼女の前に行き、一緒に踊るというドキドキものの踊り。

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踊り自体は、ウブド周辺の洗練されたものとまったく違う素朴さで見るべきものはないんだけど、これが恋に発展していくかも、と思うと結構楽しめる。

といってもトゥガナンは小さな村だから、誰と誰がつきあっているか、ゆくゆくは結婚しそうか、周囲の人たちも皆知っている。そんな二人が踊り始めたらものすごい歓声に包まれる。

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本当はあのコが好きなんだけどワケアリでこのコと踊るとか、断られるとか、いろんな思惑が交差して結構スリルに満ちたダンスだ。

少し離れたところでは、結婚済みの女たちが食事をしていた。

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バリ島ではどこでもそうだが、トゥガナンでも結婚して初めて「村人」と認められ、いくばくかの発言権が得られる。そこには責任と義務が生じる。

村の若者は、男女を問わず結婚相手を村内でみつけなければならない掟がある。もし村外の者と結婚したければ、駆け落ち同然で村から出なければならない。それは村社会のバリ人にとっては非常に重い決断で、実行する者は希だ。

それにトゥガナン村は周囲の山々やその向こう側に広大な小作地を有し、そこで採れる米は村人で分配される決まりがある。つまり、村人であれば衣食住は保障されているのだ。貧しくても食うには困らない。それが、村人が村内婚を続けてきた理由のひとつなのだそうだ。

ともあれ、これらいくつもの掟によって、トゥガナンは独特な生活様式を守り続けている。それに、保守的といってもライフスタイルがそうなだけで、ツーリストにも親切で気持ちのいい村だ。

アブアン ダンスは、午前11時頃に始まり、午後1時過ぎに終わった。
こうして、トゥガナン村の一年が始まるのだった。

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