雨のアンダルシアで、シェリー酒とフラメンコに酔いしれる夜

スペイン

アンダルシア地方の南方の町、ヘレスに来た目的のひとつは、タバンコというこの町に独特の酒場で、フラメンコを見ること。狭い酒場で直接伝わってくるギターや踊りの生の波動を撮影することだ。

ヘレス デ ラ フロンテーラのタバンコでフラメンコを観賞する

アンダルシアは雨だった

アンダルシア地方はヨーロッパ大陸の南端にある。街の名はヘレス デ ラ フロンテーラといって「国境の街ヘレス」という意味。その昔、ここがキリスト教圏とイスラム教圏の国境だった時代の名残だ。現代では、国境はその南のジブラルタル海峡に移っていて、海を隔てたアフリカ大陸が正真正銘のイスラム世界である。

今年3月上旬のアンダルシア地方は、西から寒波や雨雲がなだれ込んできて、天気が大きく崩れていた。ヘレスもずっと雨で、町を歩く人は少ない。ぼくも、居心地のよいホテルの部屋から外へ出る気がぜんぜん起きなかった。

雨のヘレス デ ラ フロンテーラ

とはいえ、いつまでも部屋にこもっているわけにもいかない。スペインの町は昼間より夜の方が人通りが多いものだが、雨のヘレスもまた暗くなってからの方が歩いている人が多かった。外へ出ればフリースの上にダウンジャケットを着ていても寒い。

雨のヘレスの中心部

シェリー酒とフラメンコを楽しむタバンコ

ヘレス デ ラ フロンテーラのタバンコ エル パサへ

やってきたのはタバンコ エル パサヘTabanco el Pasaje という酒場。狭い店内にシェリー酒の樽が並んでいる。

ヘレス デ ラ フロンテーラのタバンコ エル パサヘでシェリーを注文する

シェリーはアンダルシア地方で独特の製法でつくられるワイン。スペイン語では“ヘレス"といい、この町周辺で作られるもののみが"ヘレス"と名乗ることができる。

日本にはむかし国産シェリー酒というものがあったそうだが、それらはみな偽物だ。ここタバンコは、本場でシェリー酒を味わいながら、本場のフラメンコを楽しめる酒場である。

タバンコ エル パサヘは、踊り手やギタリストの控え室もないほどの小さな店で、演奏が始まる前の彼らは端のほうの椅子に座って出番を待っていた。テーブルは5つ程度しかなくて、料理を頼めばその数少ないテーブルに着くことができる。料理はコースで頼むと1人30ユーロ。マドリードのタブラオならこの値段ではワンドリンクがつくだけだし、場所と時間によってはこの倍くらいするから、とってもオトクです。

ヘレス デ ラ フロンテーラのタバンコでフラメンコを観賞する

基本的に酒場なので、料理は酒のつまみみたいなものが運ばれてくる。生ハムはおいしい。ほかにもズッキーニや焼き肉を乗せたパンも出てきて、結構お腹いっぱいになる。

ヘレス デ ラ フロンテーラのタバンコ エル パサへの食事

テーブル席はほぼかぶりつきで踊りやギタリストの手の動きが見られる。

ヘレス デ ラ フロンテーラのタバンコでフラメンコを観賞する

歌も踊りも、すぐ近くでの熱演だから迫力がある。上の写真は神レンズと評判の高いPanasonic 20mm/F1.7で撮影した。このレンズは何を撮っても美しく写る大好きなレンズ。舞台撮影には欠かせない。

ヘレス デ ラ フロンテーラのタバンコはテーブル席が5つくらい

テーブルの後ろで立ち見をする分には、お酒を注文するだけでフラメンコを楽しむことができる。その場合は舞台の近くに寄ることはできない。安価にフラメンコを楽しめるが、晴れの日の週末は激混みしてるだろうから、背の低い女性は舞台が見えないかもしれない。雨が降ってる平日でもけっこう混んでたからね。

フラメンコを見せる店は「タブラオ」というが、「タバンコ」はそれとは違う謎の店名で、これもヘレスにしかないらしい。「タバンコ」の名の由来はよくわかっておらず、一説には17世紀に登場したタバコtobacco専売品estancosとが合わさった造語というが、タバコの登場時期が間違っているし、歴史物語にありがちな根拠の薄い話だと思う。

20世紀になってから「タベルナ」から派生したという説もあって、この店ができたのが1925年だから、そっちの説の方がもっともらしい気がする。

ヘレス デ ラ フロンテーラのタバンコでフラメンコを観賞する

上の写真はオリンパス45mm/F1.8(フルサイズ換算90mm)で撮影した。単焦点レンズの撮影は気合が入って充足感があって好き。

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フラメンコの演奏が終わると帰っていく客もいるが、いつまでもおしゃべりを楽しむ客も多い。 タバンコ エル パサヘは入り口がふたつあり、こちらは裏通りの入り口だ。

ヘレス デ ラ フロンテーラのタバンコでお酒を楽しむ人々

カウンターでシェリーを一杯だけひっかけてさっさと帰る地元の年配の客もいた。こっちの人がカフェ(エスプレッソ)を飲む姿と似ている。よく、そんなふうにささっと飲んで店を出ていく人をよく見る。日本ならドトールコーヒーでもコーヒーを一杯頼んだらしばらく席に座り込んでるものだが、スペイン人はシェリーとカフェは同じようにクイッと飲んで出ていくみたい。

タバンコ エル パサヘのサイトはこちら

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Posted by ariga masahiro