Nikon D7100のインプレッション

撮影機材

D7100外観

Nikon D7100を使い始めて3ヶ月が過ぎた。

使うほどに、操作がしやすくてよいカメラだと感じる。小型軽量・優れた撮像素子・メモリのダブルスロットなど、D7000の長所を引き継いでいる。

その上、昨年、このブログの「D7000のインプレッション」でぼくが書き並べたD7000の短所がほとんど改められていたのが嬉しい。ここいらで、D7100を評価してレビューを書いてみよう。

デザイン

外観も操作性もD7000とだいたい同じ。 細部の仕上げがよくなったことにより、少しばかり高級感が上がった。

重量の実測(バッテリ・SDカード2枚込み)はほぼ同じ。
D7000が788g
D7100が773g

好印象なのは、グリップの指掛かりがよくなったこと。特に中指がかかる部分の形が改良され、AF-S 24-120/4のように太くて重いレンズを着けてもしっかりと保持できるようになった。そして、これまで置き所がないように感じていた小指もグリップにかかるようになった。

D7100は、外観だけでなく内部の建付もよくなっている。

先代のD7000は、マルチパワーバッテリーパックMB-D11を装着すると、取付ノブをしっかり締めてもカメラとバッテリーパックに一体感がなくぐらぐらしていた。なんでこんな製品を販売しているのかあきれるほどだった(そんな状態で使っていたのだが)。

それが、D7100とMB-D15は、取付ノブを締めればしっかり両者が一体化するようになった。ボディ底部の面積が広がり接着しやすくなったこと、ガイドピンが1本から2本に増えて、かつ太くなったことも貢献していると思う。

全体に、上級機D300の精密感には未だ及ばないものの、それほど気にならない程度にまで質感の差は縮まってきたと思う。

操作性の向上

マルチセレクター中央のOKボタンを押せば、一発で画像を拡大できるようになった。

D7100液晶モニタ

しかもAFで合焦した部分が自動的に拡大されるのだ(これが重要)。画面右下にあるのが全体図で黄色いカコミ内を拡大している。全体図は数秒表示されたら消える。

この便利なピントチェック機能はD4やD300では普通に付いているのだが、安価なボディでは何故か省かれていた。もしこの機能がなかったら、ピントチェックしたい時は、プラスボタンを何度も押して画面を拡大し、それからマルチセレクターを上下左右に押して、合焦箇所を一所懸命探さなければならない。そんなこと作業効率が悪すぎてやってらんない(D7000ではやっていたけど)。

マルチセレクターのOKボタンはこれね。

D7100マルチセレクター

クロップモードが付いた

上級機では当たり前になっているクロップ機能が新設された。
ファインダーの見え方はこんな感じ。

D7100のクロップモードのファインダーの見え方

クロップされる範囲がカコミケイで表示されている。クロップされることによって、撮影画角がDXに対して1.3倍になる。DXはFX(フルサイズ)に対して撮影画角が1.5倍だから、合計してフルサイズ換算で2倍の撮影画角を持つカメラとして使える。

バリ島のお祭りで、AF-S50mm/f1.4Gを着けて子供の踊りを撮影した。 ということは、軽量で明るい中望遠レンズ100mm/f1.4相当として使える。

D7100のクロップモードの撮影結果

Lens : 50mm
ISO: 1250
Aperture: 1.4
Shutter: 1/60

こんなに軽量な中望遠レンズはこれまでならありえない。
マイクロフォーサーズならともかく、ニコンの一眼レフなのに軽い!

AF-S 70-200/2.8を着けたなら、フルサイズ換算でAF-S 140-400/2.8の高級ズームレンズとして使えるのだ!

その上、これに2倍テレコンバーターを着ければAF-S 280-800/5.6のズームレンズとしても使えるではないか!

しかも51点のAF測距点がすべて対応して、連射速度は最高約7コマ/秒。なんか気が遠くなりそうな優れた仕様だね。ぼくには使いこなせないかも(汗)。

最大の特徴として、クロップ時はAF測距点が画面内のほぼ全域をカバーする。これは動体撮影には大変魅力的だ。これまでは、踊り子さんを撮影するときに、AF測距点がもっと広い範囲にあればいつも顔に測距点を持ってこられるだけどなあ、と思うことがしばしばあった。今後はそれも杞憂になる。

フラッグシップ機のD4の測距エリアに比べても、D7100の測距エリアの広さは歴然としている。これはD7100の最大のアドバンテージだろう。

D7100

Nikon D7100のファインダー表示

D4

Nikon D4のファインダー表示

D600

Nikon D600のファインダー表示

D4ならまだしも、D600は狭すぎだよね。
これなら測距点は中央1点があればそれでよいのでは?と思わないでもない。

クロップ時はファインダー視野率160%

これまでは見えなかった「画面の外側」が見えるようになったのだから、動体撮影時に絶大な威力を発揮する。かつてフィルムカメラ時代に、視野率100%以上のカメラがあれば動体撮影に便利なのになあ、という意見が散見された。その夢がデジタル時代になって実現した。

スポーツだけでなくスナップ撮影時でも視野率160%は便利だ。特に動き素早い子供を撮影する時はこの機能は欠かせない。実際には視野率130%程度がちょうどよい気がするが、これは仕方がない。

気になる解像力も、1536万画素もあるからA3でも全く問題なくプリントできる。 難点は、上の参考画面は青空だからカコミケイがハッキリ見えるが、暗い室内や黒い背景ではケイが見えないこと。ケイはもう少し太くしてもよいのではないか。

ライカなどレンジファインダー機では撮影範囲がもっと分かりやすく表示されているし。クロップ時にはファインダー右上に「×1.3」と表示されるが、これはなくてもいい。カコミケイが太ければそれで充分。

優れたAF

AFセンサーはD4と同じアドバンストマルチCAM 3500DX(型番の最後にDXがついているのはDXに最適化されているため)が搭載されているから、AF性能もD4と同等だとニコンの宣伝文句には謳われている。さすがにAF性能は素晴らしい。ほとんど迷うことなく何にでもスッと合焦する。

D7000やD610のAFセンサーとは段違いの性能で、しかも精度も高い。D7000では風景を中央の測距点で合掌させても微妙にピントがずれていることがままあったが、D7100はそれが激減した。ほとんどのコマでピントがビシッときているから気持ちがいい。これだけでもD7000から買い換える価値があった。

といっても、実際にはD4と完全に同等なAF性能ではないようだ。 例えばAFの繰り返し精度(同一箇所に何度ピントを合わせても完全に同じ位置に合焦すること)はD4がほぼ100%なのに比べ、D7100はやや前後する。AFセンサーは同じでも、それ以外の部品は別だからかもしれない。といっても絞り開放の被写界深度に入る程度のユレだからスナップ撮影ではそれほど気にならない。一般の人にはまず分からない程度の微妙な差だ。

前述したが、クロップ時には画面のほぼ全域をAF測距点がカバーするから、動体撮影がたいへんやりやすい。それにスナップ撮影もやりやすい。

ただし、クロップ時にAF測距点を11点にした際は、測距点の配置が開きすぎる。いちばん端の測距点は画面端になってしまい、まず使わない。クロップ用のAF11点位置を再考してほしい。

撮影モードダイヤル

スペシャルエフェクトモードが搭載された。
イラスト調の写真やミニチュア効果が簡単にできる。

撮影モードダイヤル

困ったことにこのエフェクトモードは、MとU2の間に位置している。

D7000では、露出モードをMからU2に切り替えるとき、ダイヤルを左回りに1クリック分だけ回していた。それが癖になっていて、D7100ではU2を選んだつもりでエフェクトモードにしてしまったことが何度かある。お陰で、チベットのお寺の本堂で写真撮影したつもりで次のようなイラストができてしまった。

一体、このイラストをどうしたらいいのだろう?
それに、RAWで撮影している筈なのに、このイラストモードは何故かJPEGファイルのみで記録されること。これでは後から救いようがない。エフェクトモードのようなギミックを、モードダイヤルの一等地に配置する設計者のセンスが分からない。フォトグラファーの手間を増やさないでください!> 設計者

モードダイヤルにロックがついた。

プロのフォトグラファーの立場からいえば、D7000のモードダイヤルの方がよかったな。

D7000のモードダイヤルは、勝手に回らないように硬くする有料改造サービスがNPSであった(現在は受け付け終了)から所有する2台とも改造していた。だから勝手に回ることもないし、回したいときはいちいちロック解除ボタンを押さなくても回せるから便利だった。

見やすい液晶モニター

従来より一回り大きい3.2型を採用。
RGBに白いW画素を加えた123万ドットの画面は、コントラストが高いうえに視野角も広く、視認性がよい。ただしピーカン時の屋外ではほとんど画像が見えないのは従来機と変わりがない。

文字表示の書体が変わった。

液晶モニター

従来よりもアールがなめらかだが、PCにありがちなそっけない書体。たぶんニコンの開発者はタイポグラフィの重要性を認識していないのだろう。

ライブビューで拡大したときのピントの見やすさは、D7000やD90よりはよくなっているが、D300には及ばない。やはりD300は隙がないよくできたカメラだとあらためて感じる。D300の後継機が待たれる(まもなく発表されるのではないか)。

連写速度

サンディスクExtreme Pro 95MB/S

サンディスクExtreme Pro 95MB/Sでの実測値。

カメラを三脚に据えて、屋外の景色を連写した。
右手でグリップを握り、人差し指でレリーズボタンを押しながらの連写だ。 露出はマニュアル、AF-Cモード、歪曲補正・ノイズ低減・ADLはオフ。 RAWはすべて圧縮ファイル。

AF-S 50mm / f1.4
ISO200
1/400
f5.6

  • DX、12bitRAW撮影/CHモード(6コマ/秒)は8枚連写可能。
    それ以降も2.5コマ/秒程度で連写し続ける。止まらない。
  • DX、14bitRAW撮影/CHモード(5コマ/秒)は6枚連写可能。
    それ以降も2コマ/秒で連写し続け、止まらない。
  • 1.3クロップ、12bitRAW撮影/CHモード(7コマ/秒)は13枚連写可能。
    それ以降も3.5コマ/秒で連写し続ける。止まらない。
  • 1.3クロップ、14bitRAW撮影/CHモード(6コマ/秒)は10枚連写可能。
    それ以降も3コマ/秒で連写し続ける。止まらない。
  • JPG/L撮影/CHモード(6コマ/S)は15枚連写可能。
    それ以降もおおむね4コマ/S程度で連写可能。止まらない。

レリーズボタンから指を離すとバッファは2〜3秒でクリアされる。
という結果になった。

充分なスピードだ。ぼくがよく使う(3)1.3クロップ、12bitRAW撮影/CHモードなら7コマ/秒13枚連写可能だし、その後も3.5コマ/秒で連写し続けて止まらないから、実用的にはまったく問題ない。プロの踊り子さんを撮影するときでも、ぼくは13コマも連続撮影することはまずないので。

画素数が多い(1)DX、12bitRAW撮影/CHモードでもぼくには必要充分。 連写が多い人は、ニコワンを選んだほうが実用的だろう。これなら60コマ/秒の連写が可能だ。

画質

ぼくは、ほとんど12bitRAWで撮影して、Capture One Pro 7か、Photoshop Camera RAW で現像している。

だから、絵作りとか、画質は、それらRAW現像ソフトの領域だ。D7100に期待するのは素材としてのRAWファイルの情報力。そして、それは素晴らしい。

DxOのスコアでは、D7100の撮像素子のスコアは総合成績で83点と、D7000の80点に比べて若干向上している。RAWファイルの情報力(情報量というか)にはいささかの問題も感じられない。

Nikon D7100とCanon EOS 5D Mk3との画質比較

他メーカーと比べれば、例えばキヤノン EOS5D Mk III よりも2点上回っている。ダイナミックレンジが13.7EVもあることが優秀さの秘訣みたい。

EOS5D MkIII よりも高性能だなんて、D7100の性能は凄すぎだな。他メーカーにライバルとなるカメラはないと言ってしまおう。

実際には、雑誌に求められる解像度はA3見開きでもD3やD300の1200万画素あれば足りていた。そして、この5月にしたぼくの個展でも、1200万画素のNikon D90で撮影した写真をA3ノビにプリントして展示したが、画質は充分だった。

おおざっぱにいってA3プリントは1200万画素あれば足りて、1600万画素で余裕を感じ、2000万画素なら余裕たっぷりだから、D7100の2400万画素なら精彩感に満ちている。というか多すぎじゃない? もしかして。

ぼくは、JPEGで撮影することがほとんどないから、機種固有のチューニングについてはよくわからない。まれにJPEG撮影したとき、画像エンジンがEXPEED 3に進化したため、ずいぶん自然できれいな画像になったなあ、と感心する。

D7100は、RAWであれJPEGであれ、細密描写がほしいときはDXで、連写速度を稼ぎたい時は1.3倍クロップで、と使い分ければよいと思う。

そうそう、ホワイトバランスのオートの精度はかなりよくなった。人工照明下での、雰囲気を残した自然な色造りは、AdobeもCapture oneもかなわない。画像エンジンEXPEED 3の威力を感じる。ぼくは、人工照明下では Auto、日中屋外では5000kに設定している。

ライブビューボタンと i ボタン

ライブビューボタンがマルチセレクターの下に置かれた。
これはぼくには意味のない変化だった。それにMB-D15をつけると縦位置撮影時にマルチセレクターが遠くなってしまった。

ライブビューボタンの下に、infoボタンがある。
これを押すと、液晶モニタに設定情報が表示される。

infoボタンとは別に、iボタンがボディ背面左下に新設された。
これまでD7000では info ボタン2度押しでモニタ下部に機能ボタンが表示されていたのだが、専用ボタンを設けたのだ。しかし、まったくメリットを感じない。それどころか、似たようなボタン(infoボタンと i ボタン)がふたつあることで、かえって操作が煩雑になった。iボタンがほしいという要望があったとも思えない。

それに、これら機能ボタンは、必要度の高いものを選び抜いて表示しているとは言いがたい。

「プレビューボタンの機能」みたいにスペースが余ったから入れておきました、というボタンが多い。これらの余計な表示はないほうがスッキリする。

要するに、 i ボタンは必要の無いボタンだ。ぼくとしては、背面左下の i ボタンに、 info ボタンの機能をあててほしかった。D4やD3100がそうなのだから、やれば出来るはず。できればファームのアップで i ボタンと info ボタンを入れ替えられるようにしてくれませんか。

露出ディレイモード(レリーズ→ミラーアップ後に一定時間を置いてからシャッターが動作するモード)の時間を選べるようになったのはいいね。

これのおかげで、三脚撮影時にミラーアップするのが楽になった。ぼくは2秒を選んでいる。従来機は0.7秒しかなくて、効果の程が心配だった。D7100で気に入っている機能の一つ。

水準器の精度向上

従来機の水準器の精度は低かった。
ある程度の目安にはなるが水準器と呼べる精度はなかった。

D7100では、平行がとれたところで▲が表示されるようになった。これのお陰で、手持ち撮影ならばほぼ満足できる水準器として使えるようになった。

▲の許容範囲は

水準器の表示方法がファインダースクリーン上にスーパーインポーズ投影(とでも言うのか)されるようになった。これにより、露出などファインダー内情報とバッティングせずに表示されるようになった。
しかしこの方式は、明所ではよく見えても、暗所ではまったく見えない。 水準器の表示方式は、D7000の方がよかった。

改悪

USB端子が変更された。

これまで使ってたミニBのケーブルが刺さらない。よく見たら端子の形が変わっていた。

どういう端子なのか、ニコンのカスタマーセンターに電話で「D7000のUSBはミニBでしたよね。D7100は何ですか」と訊いたら「USBはUSBです。それ以外の端子ではありません」とイミフな答えが返ってきた。

電話の向こうの男の子は、USB端子にいくつもの規格があることを知らなかったみたい。なんでこんなのがサポセンにいるんだか。話が通じないから別の人に交替してくれ、と求めたら、慌てて奥へ行って調べてきた。答えは「ミニ8ピン平型でした」とのことであった。

撮影現場に行く前に気がついてよかった。

変更理由は、電話の向こうの男の子はもちろん、サービスセンターの窓口の人に聞いても誰も分からない。ニコンの人は、カメラとPCとつないで連結撮影をするとか、そういうことをまったく気にかけていないみたいだね。こっちは新しいケーブルを買わねばならないし、間違えて他のケーブルを持っていかないように余計な注意を払わなければならない。

ヨドバシカメラのケーブル売り場に、ミニ8ピン平型のケーブルを探しに行ったら、サンワサプライ社の製品が1種類あるだけだった。長さは最大2m。連結撮影するには長さが3mないと窮屈だから、困ったなあ。

ネットであちこち探しても、2.5mのものが最長だった。ニコンさんはどういうつもりでこんな超マイナーな規格を採用したのだろうか。考えなしも甚だしい。 それからD800もそうだったが、再生画像を拡大と縮小する+−ボタンの位置関係が従来機と逆になった。画像を拡大するつもりで縮小してしまう(あるいはその逆)ことが何度もある。

まとめ

小型で軽量、操作性がよく、AFが早く、画質がよい。
いまあるカメラのうち、取材用としてはもっともバランスがよいカメラだと思う。

パナソニックやソニーなどのミラーレスは軽量で旅用としてよいカメラだが、レンズが充実していないこと、操作性の詰めの甘さ、望遠レンズでの頼りないAF、起動が遅くてシャッターチャンスを逃すことなど、克服すべき問題点が少なくない。それに比べて、高いシステム性に裏打ちされるD7100の高機能と俊敏さは、一瞬を撮影するための機材としては最高に練り上げられている。

当ブログ内のD7000のインプレッションはこちら >2012年 5月13日 D7000のインプレッション

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