フィルムのスキャンをサクサクする【スライド コピーアダプター ES-1】

撮影機材

ぼくはポジフィルムをデータ化するとき、以前はNikon Coolscan 4ED を使っていた。コンシューマー用フィルム専用スキャナの代表製品で、10年前ならプロのフォトグラファーで持っている人も多かった。

フィルム専用スキャナだからスキャニングのクオリティは高い。これでスキャンして最新型のエプソンのプリンタで印画すれば、まるでダイレクトプリントのような高品質なプリントが得られる。

良好なクォリティのCoolscan 4EDだが、問題点もある。1枚のポジのスキャニングに2分もかかって待ち時間がかったるい。さらにまずいことに純正スキャナーのドライバーは現在のMacOSXでは動作しないし起動もしない。仕方が無いので5年前の白いMacBookをスキャンのためにとっておいてあるのだが、いちいち古いMacBookを起動するのもかったるい。

そこで手軽なスライド複写キットES-1

いろいろと面倒なので何とかならないかと思っていたら、友達からNikon スライドコピーアダプター ES-1を使えばデジタル一眼レフとマクロレンズで簡単に複写できると聞いて、早速購入した。

実物を手にして思い出したが、ぼくはこれを学生の頃に買ったことがあった。安価にポジを複製したかったのだと思うけど、あのES-1はどこへ行ったのだろう?

使い方はぼくの場合、Nikon D7000にAF-S40mm/2.8マイクロレンズを着けて、フィルター枠にES-1をねじ込むだけ。照明は純正ストロボを使えばワイヤレスでTTLオート撮影ができて簡単。AF-S DX40mm/2.8Gは大変よく写るマクロレンズだからフィルム複写に最適だ。カメラとストロボは下の写真のようにセットする。

カメラにセットする三脚は必要だ。こんなにしっかりしたのでなくても、持っていなければマンフロットの卓上三脚のようなシンプルなものでよい。

ストロボにもスタンドが必要だ。持っていなければこんな簡素なのでよい。シュー(ストロボを三脚にセットするパーツ)はストロボに付属していると思う。なくした人はあらためて購入しよう。

手持ちで複写撮影できないのだろうか?

三脚やスタンドが無くても「手持ちで撮れるのではないか」と質問を受けた。結論からいうと、どちらも必要だ。というのはそれら固定装置がないと、カメラとストロボの位置関係が撮影ごとにずれてしまい、光の周り方やクオリティが均一にならない。

2〜3枚の複写をするだけなら手持ちでよしとしても、ある程度の枚数を複写するなら三脚もスタンドも用意した方がよい。

それから手持ちで複写を繰りかえすと無理な姿勢がたたって身体を痛める心配もある。

ストロボを持ってないから太陽光で撮影できないか?

晴天の太陽光でも撮影はできる。しかし太陽の光は時間帯によって色や強さが異なるから、撮影の仕上がりのクオリティが安定しない。いちいち補正するのは面倒だし、曇りの日は撮影できないとか制約が多い。はじめからストロボで撮影するのが簡単だ。

必要なカメラとレンズ

ES-1はもともとニコンのAi Micro 55mm f/2.8Sと合わせて使うように作られた品(1980年発売のマニュアルフォーカス レンズで現行品)。なので換算焦点距離50〜60mmの単焦点マクロレンズを使う。それ以外のレンズ、例えば105mmマクロとか、ズームレンズのマクロ機能はニコン製であっても使えないと考えた方がよい。

ES-1のネジ径は直径52mm。レンズによってはフィルター径が合わないからネジ径変換アダプターが必要になる。

ニコンのAPS一眼レフカメラにはAF-S DX Micro 40mm/2.8Gを使う。

ニコンのフルサイズ一眼レフカメラにはAF-S Micro 60mm/2.8Gを使う。ES-1に装着するにはBR-5リングが必要なので同時に購入すること。

ニコン以外のカメラはワーキングディスタンスを考慮してマクロレンズを選ぶ。換算焦点距離50〜60mmの単焦点マクロレンズを使うのがよいという点は同じ。

例えば、ソニーのAPSミラーレスカメラα6000に純正マクロレンズSEL30M35でも、フィルター径変換アダプターをかませばES-1は使える。ただし二回り小さく写る。α6000なら800万画素程度になる。A4サイズのプリントなら十二分な画質だ。

キヤノンもマクロレンズで使えるそうだ。使い勝手については事前にヨドバシカメラへ平日昼間に行って相談に乗ってもらおう。

ES-1でスライド複写の手順

まず、ピントを正確にとる

マクロ域の撮影で正確なピントをだすのは、案外難しい。

ほんの1mmでもピントが前後にずれたら、なんとなくぼやけた複写になってしまう。よくありがちなミスだ。

ここで覚えておきたいのは、オートフォーカス一眼レフのピントは、カメラとレンズの組み合わせごとに精度が異なること。これは一眼レフの構造的宿命だから仕方がないことで、各社はこれを克服するためにいろんな方法をカメラに組み込んでいる。

ニコンの、ここ5年以内に発売された一眼レフボディならば、レンズごとにピント精度を補正する機能があるから、複写開始前に必ずこれを設定しよう。

もしカメラにライブビュー機能があればそれを使うのがよい。ライブビューはセンサーの位置でピントを合わせるからピント精度が格段に良い。この場合は、上記のピント精度補正機能を設定する必要はない。

絞りはできるだけ深く

絞りはできるだけ大きい数値で。言い換えるとできるだけ被写界深度を深くする。フィルムはたいがいカーリングしていて平面がとれていないから、中央でピントを合わせると周辺が被写界深度から外れるため。フィルム時代のプロカメラマンや印刷業者は「フィルムの平面性」との戦いだった。

ES-1に使うレンズが105mmなどの中望遠マクロレンズではなく、55mmレンズなど標準マクロレンズなのも、被写界深度を考慮して周辺画質を確保するためだ。もし、持っているのが中望遠マクロレンズだったとして、それを工夫してES-1に装着するのは試みとしては面白いが、安定した結果には繋がらない。

しかし、絞りを最大数値にすると、今度は回析ボケがおきて画面全体がなんとなく締まらなくなる。マクロレンズは回析ボケがおきにくく作られているから比較的絞ってもOKだが、最大数値のすこし手前くらいに設定しよう。レンズによるがAPSならF11〜16、フルサイズならF16〜22ぐらいかな。

目的がプリント用かWEB用かで、求められる精度が違ってくる。WEB用途のみならあまりシビアに考えなくてもよいだろう。

ホワイトバランスはマニュアル取得

次に重要なこと。それはホワイトバランスを予めマニュアル取得すること。

よい仕上がりを望むならホワイトバランスは必ずマニュアルで取得することだ。複写をオートWBで撮影なんて論外だ。WBのマニュアル取得の方法はカメラの説明書に書いてあるので読んでみて。 簡単に言えば、カメラにES-1を着けてストロボ光を飛ばして取得する。

ぼくがしている複写撮影の設定

  • 感度ISO100
  • ホワイトバランスはマニュアル取得
  • 撮影クオリティはRAW
  • 露出モードはマニュアル
  • シャッタースピードはシンクロする最高スピードに設定
  • 絞りはできるだけ深くするが回析ボケがおきない程度に。
    レンズによるがAPSならF11〜16、フルサイズならF16〜22ぐらい

RAWをJPEGに現像する

さて、撮影されたRAWファイルを、カメラ付属の純正RAW現像アプリView NX2でピクチャーコントロール「スタンダード」で現像したら、大変ひどい画質になる。コントラストが高すぎ、暗部は潰れ、明部はとんでいる。バキバキに硬いデータだ。とても鑑賞に堪えない。

なんだこれはと一瞬クラッとするが、よく考えたらこれは当たり前のこと。ポジを複写してアプリで現像するということは、フィルムとエクスピードII画像エンジンとで味付けを2度しているということだ。料理でいえば塩と醤油を2度がけしているようなものだから、しょっぱい味になるのも無理もない。

そういえばかつてフィルムでポジを複写する際は、普通のポジフィルムを使わないで、富士フイルムのCDUという複写専用の超軟調フィルムを使っていた。たしか感度がISO10しかないフィルムだったかな。いま調べたらCDUは2年ほど前に生産終了したようだね。

RAW現像は軟調な忠実モードで

デジタル時代の現代でも、同じように超軟調に現像しなければならない。Capture one Proにリニアレスポンスという、RAWデータに忠実現像モードがあったのを思い出して、さっそくそれで現像した。

潰れていた暗部の調子が現れた。 これはこれでいい感じだけど、まだ少し硬い。 Capture one Proらしい画像だといえる。 ついでに Silkypix Proでも現像してみた。こちらにも「スーパーニュートラル」という忠実現像モードがある。

これもなかなか調子がよい。パッと見はC1よりも忠実だ。

扱いが小さい写真やウェブならこれでよいだろう。大きくプリントする場合は、パラメータの調整を詰めていく必要がある。設定を煮詰めれば大きく伸ばせる。

初めからJPEGで撮影するには

カメラ側の設定をきちんとすればJpegで撮影することも可能だと思う。ぼくはJpeg撮影をしないからカメラの設定をみたことがないけど、ピクチャーコントロールをニュートラルにすればよいのではないか。たぶん。

間違ってもピクチャーコントロールをビビットや風景写真モードに設定して撮影してはいけないよ。スタンダードでヘンな画像になるというのに、ビビットになんかしたらなおヘンだ。

試し撮りを何度かして、撮影データを詰めていこう。それが面倒な人は写真撮影には向かないから、業者に頼むといいよ。

その後、Nikon純正(?)RAW現像ソフトNX-Dにフラットという忠実現像モードが搭載された。これが一番よい結果になるのではないかと思うので、機会をみつけて試してみたい。

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