【イジェン山】幻想の青い炎を見るトレッキング ツアー

バリ島,東南アジア

いよいよイジェン山に登る日がきた。イジェン山は標高2443mの活火山。火口から青い炎が吹きだす幻想的な光景で知られている。今回はこの「ブルーファイア」を見にはるばると日本から飛んできたのだ。

イジェン山群全景

棚田の向こうにそびえるふたつの頂の間に、小さく見えるのがイジェン クレーター。少し分かりにくいね。これらの山をあわせてイジェン山群と呼ばれている。イジェン クレーターのすぐ右となりのメラピ山は標高2799m。

イジェン山 現地ツアーの出発

深夜0:00 ホテル出発時刻

イジェン山登山口までの行き方は、ツアーに参加するか、自分で車をチャーターして行く以外の方法はない。ぼくが泊まっているイジェン リゾート ヴィラから車で約1時間。登山道が開く深夜1時に合わせてヴィラを出発したのは深夜0時だった。

深夜2:00 登山開始

車の中で朝食(それとも夜食?)を食べているうちに登山道入口に到着した。

駐車場を囲んで雑貨店がいくつかあり、深夜でもお菓子や飲み物を買える。もっともふつうは前日のうちに必要なものをスーパーで買ってあると思う。 先月放映されたTBS系 世界ふしぎ発見!で「宝塚の北島マヤ」と呼ばれた線の細い美女 野々すみ花が歩き始めたのもここからだ。人数が多くてまとまるのに時間がかかり、なんだかんだでぼくらが歩き始めたのは午前2時ちょうどだった。

イジェン山登山口

登山口の標高は約1900m。気温は平地に比べて15度ぐらい低く、熱帯とはいえ夜間は肌寒い。しかし登山道は急なのぼり道だから歩きはじめれば暑くて汗ばむほど。幸いなことに無風なので、速乾性Tシャツの上にノースフェイスのマウンテンジャケットを着ているだけの軽装で気持ちよく登れた。天候に恵まれてよかった。

イジェン山登山を歩き始めるトレッカー

暗闇に向かって歩く。 登山道はまっくらでライトがなければ何も見えない。新月の頃なら空も真っ暗だろう。今は半月の時期。空に月明かりがかすかにあるものの、足元を照らすほどではない。

ぼくは小型ヘッドライトを持ってきた。 土の道は前夜の雨で濡れていた。しかもかなり急坂だ。滑りにくいソールの靴を履いてくるべきだ。この先の火口は岩場だからしっかりした靴がいい。しかし実際には脳天気なオージーガールがタンクトップでミニのワンピースを着てズック履きで登っている姿もあった。やっぱり若い娘の活動力はスゴイなあ。わたくしはあっけにとられたのであった。

深夜2:21 ポーターが待ち構えていた

20分ほど歩いたところでポーターが待ち構えていた。硫黄岩をはこぶ手押し車に登山者を乗せていくという。火口まで言い値は50万ルピア。急坂にねをあげた一人が30万ルピアで話をつけて、ここから楽して登っていた。ポーターが岩を運んで得る日当は10万ルピアだから、ふたりで分けても大もうけだな。たぶん。

イジェン山のポーター

深夜3:57 登山管理事務所着

登山口から1時間登ったところに登山管理事務所がある。ここで入山者の名前を記録する。周囲にはポーターたちが寝泊まりする小屋があって、彼らはここで食事をつくって生活をしているそうだ。

イジェン山の登山管理事務所

事務所から30分ほど登ると道は平坦になってくる。硫黄のにおいがして、ほんの少しのどが痛く感じてきた。

深夜3:42 クレーターの外輪山に着

クレーターの外輪山に到着したが、真っ暗なのでほとんどなにも見えない。外輪山は標高2300〜2400mほどで、火口の底ではなにかが光っている。あれがブルーファイアだろうか。 硫黄岩をかつぐポーターとすれ違った。

イジェン山のポーター

重さは100kgぐらいあるそうだ。 外輪山で立ち止まっていたら急に寒くなってきた。バッグから薄手のダウンジャケットをとりだして、マウンテンジャケットの下に着ることにした。

火口にゆらめく青い炎

外輪山から火口底部までの標高差は約180m。暗闇に降りていく石段はツーリストたちで渋滞していた。軽装の女の子たちが石の上を歩きにくいのは無理もない。石段といっても整備された階段ではなく、岩が段になっているだけの幅狭の道だから追い越すこともできない。

おかげで大した距離でもないのに下まで降りるのに30分以上近くかかった。

深夜4:23 青い炎に近づいた

イジェン山の青い炎

ネット上には、外輪山から火口底部までの標高差を500mと書いている記事が散見される。高度計を持たないか、実際に現地に来たことがない人が、他のネット記事を見ながら書いているのだろうね。

火口では噴煙がもくもくのぼっている。

イジェン山の青い炎2

暗闇に輝くブルーファイアは幻想的だった。

イジェン山の青い炎3

地元では、イジェン山は火の神ブロモがおわす神の山とされている。ブロモはヒンドゥー教三大神のひとりブラフマーのことだが、このあたりでは叙事詩ラーマーヤナのシータ妃のこととされ、火の女神だといわれている。

田舎なんでいろんな神さまがごっちゃになっているようだ。ジャワの人はイスラム教徒だから、神々の世界がよく分からないのかもしれない。けれども、イスラム教の土地でありながらヒンドゥーの神をもあがめているふところの深さがインドネシアの魅力なのかも。

ところで、旅行前にネット検索したら、青い溶岩が流れるかのように燃えている写真が多くヒットした。ドラマチックな自然の姿を期待していたのだが、ぼくが自分の目で見たブルーファイアはもっとシンプルだった。実際にはああいう光景が毎日あるわけではないようだ。

東の空が明るくなってきた

早朝5:15 青い炎が見えなくなる

ファインダーを覗いて写真を撮っていると時間を忘れる。青い炎が弱くなってきた気がしてファインダーから目を外してあたりを見渡すと、空が急速に明るくなってきたことが分かった。

Gunung ijen 070

見回せば、ぼくの立っている場所は硫黄に染まりまっ黄色だった。

イジェン山の火口2

明るくなるまで周囲の様子はなにも分からなかった。 火口の底にいることが、いま、はっきりと目で見える。

イジェン山の火口3

明るくなるにつれて、ブルーファイアは見えなくなってしまった。

イジェン山の火口4

こんどはポーターを激写。

イジェン山の火口5

緑色をしたイジェン湖。湖面の標高2160m。最大幅722mもあり、最大深度212mというかなり大きなカルデラ湖だ。晴れていたらエメラルドのように輝いているはず。 降りてきた石段を30分かけて登る。

早朝6:03 外輪山に戻る

イジェン山の火口6

雪が積もっているように見えるのは硫黄。周囲はガスで霞んでいる。午前6時きっかりに外輪山に戻った。 硫黄を売っている人もよくいる。

イジェン山の火口と外輪山

決してこれらの硫黄を買わないように。硫黄は発火物だ。帰りの飛行機に載せることができない。手荷物でも預け荷物でも積載不可だから注意。

早朝6:31 下山開始

下山を始めてまもなく、イジェン山の山頂から朝日が登ってきた。
ご来光の時刻は6時43分。山頂から登るから日の出時刻が遅い。

イジェン山の朝日

下山時になって、あらためて登山道が急坂であることに驚く。往路は真っ暗で何も見えなかった。そして緑が多い。 登りばかりか下りにも手押し車に乗っているローカルツーリスト。

イジェン山の朝日

下りは、雄大な景色を眺めながら手押し車に乗れる。どうせ乗るなら下りのほうがいいかも。

早朝8:00 登山道入口に到着

登山道入口に戻ってきた。歩き始めたときは暗くてわからなかったが、ここは緑が多い、実に爽やかな場所だったのだなあ。時刻は午前8時きっかり。

イジェン山の登山口

明るくなってから登り始めるツーリストも結構たくさんいた。 彼らはブルーファイアを見に来たのではなく、火山湖を見に来たらしい。イジェン山はふつうにミニトレッキング コースとしても人気が高いようだ。

イジェン山クレーターの標識 title=

ああ、楽しかった。

硫黄に備えるガスマスクとゴーグル

ブルーファイアの近くでは、硫黄採掘現場から吹き出す硫黄の臭いがきつい。喉がかなりヒリヒリして痛いほど。青い炎を近くで見るつもりならマスクは持っていった方がいい(ここまで来て青い炎を近くで見ない人はまずいないと思う)。

火山写真の専門家に訊いたところアマゾンで2千円程度で売っている物を用意すれば充分だということだ。

なお、現地ツアーで配られる(or貸し出される)安物マスクは有機ガス対応ではないから万一有毒ガスが噴出した際は意味がない。それに顔に密着しないから硫黄がマスク内に入ってきて喉が痛くなる。マスクは日本から持参すべき。


シゲマツ(重松製作所) 防毒マスク半面形面 サイズM GM77-M

充分な性能ながらも比較的コンパクトで価格が安いこれがよい。サイズがSMLの3種類あるから熟考して選んでください。下のCA-705Sとセットで購入すること。

重松製作所 有機ガス用吸収缶(防じん機能付き) CA-705S/OV


マスクと一緒に有機ガス用吸収缶も必ず買うこと。これをセットしないと防毒マスクとして機能しない。

ゴーグルはあってもなくてもよい

それから目を保護するゴーグルは「必ずしもいらない。ゴーグルを持ち歩いている火山の研究者を見たことがないから」とのこと。それでも気になる人はこれを買うといい。なお、メガネの上から装着できる大型ゴーグルは、防毒マスクと干渉して顔面に密着しないから無意味。

イジェン山トレッキングの服装

熱帯ではあるが、標高が高いのでそれなりに涼しい。

一般に、標高が100m上れば気温は0.6℃下がる。イジェン クレーターは標高2443mなので、ふもとの州都バニュワンギより15度低い計算になる。バニュワンギの平均最低気温は24度だから、計算すると夜明け直前のイジェン火口では平均気温10度ということになる。わりと寒い。

もし天気が崩れていたらもっと寒いかもしれない。それなりの準備をしていくべきだ。また、風速1mにつき体感温度は1℃下がることも覚えておこう。

ただし、登山口から火口まではずっと登り道だから、歩いていると暑いし汗もかく。したがってトレッキング中は、変化に即応できて動きやすい服装を心がけよう。

ぼくの服装はこんなかんじ

  1. 速乾Tシャツ
  2. The North Faceのアコンカグアのダウンジャケット
  3. The North Faceのマウンテンジャケット

速乾Tシャツは、汗をかいても肌にまとわりつかず、いつもサラサラで気持ちがいい。山登りにコットンシャツは不可。

アコンカグアは薄手で高品質なダウンジャケットの代表格。このダウンジャケットは重さ240gながらワンランク上の暖かさがある逸品。ぼくは旅にでかけるときは大概、アコンカグアをスーツケースに常備している。

火口は寒いのでこれを着て丁度よかった。アコンカグアよりも厚手のダウンジャケットは必要ないと感じた。

ノースフェイスのマウンテンジャケットは登山用アウターの決定版。ぼくは、持っているからこれを着ているだけで、持っていない人はこんなに本格的なジャケットを用意しなくてよい。しっかりしたウインドブレーカーで足りる。透湿撥水性の素材でつくられたものなら快適。

靴はすべりにくいものを

傾斜のある土の道を歩くから、雨の後だと滑りやすい。しっかりしたソールの軽トレッキングシューズがお勧め。尖った岩の上を歩くことはないから、滑りにくいソールならウォーキングシューズで充分。火口内は岩が多いが、発掘人たちが多くてわりと歩きやすい。ぼくは、もともと持っているアウトドア靴の専門店GOROの鉄人運動靴てつを履いていった。

3時間程度の歩きだから、本格的な登山靴は不要。

日焼け止めも大切

標高が高いから紫外線が大変強い。日焼け止めは必須。

つけないと下山中に顔が真っ赤になる。ただしホテル出発前に塗っても、日が昇るのは5時間後だからあんまり意味がない。明るくなってきたら塗れるようにバッグの取り出しやすいところに入れておくといいだろう。

オススメはコスメ界人気No.1のビオレ。さらさらして手も顔もべとつかない。

イジェン山の標高は何m?

「ネット上でイジェン山の記事をいくつか読むと、最高標高がそれぞれ違います。なぜでしょうか」という質問をもらったので追記する。

標高2443m説

当記事の1行目に「イジェン山は標高2443mの活火山」と書いてあるが、このイジェン山とはイジェン クレーターのこと。インドネシア語ではKawah Ijenと呼ばれる。下のGoogle Mapにある、緑色の火山湖を囲む外輪山のことだ。ツーリストが歩く火口への降り口はこの外輪山の標高約2350m地点にある。ブルーファイアを見に来るツーリストはみなこの外輪山を歩く。

標高2799m説

巨大なイジェン クレーターを中心として周辺にいくつかの火山がある。それらをまとめて「イジェン山群」「イジェン複合火山群」と呼ぶ。そう呼んだ場合の最高標高はメラピ山の標高である2799mになる。通常、ツーリストはメラピ山へは行かない。

正しいのはどちら?

結論をいうと、標高2443m説と標高2799m説のどちらも正しい。現状は「イジェン クレーター」と「イジェン山群」を日本語できちんと書き分けできずどちらも「イジェン山」と呼んでいるため、どちらを指すのかが曖昧で混乱しているのだ。

それからもうひとつ、理由がある。

ネット上には、現地を一度も訪れたがないヒトがコピペでまとめた記事がいくつもある。こういうヒトはイジェン山の実際の地形がまったく分からないから、両者を混同して記事をまとめている。NAVERまとめをはじめとした、コピペで作られた安易な記事に惑わされないように気をつけたい。

上空から見たイジェン山

Google Mapより。大きなカルデラ湖の様子がよくわかる。右手にメラピ山のクレーターも見える。

Mapa

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