シルクロードは十字路だった。東西南北からの道はここテルメズで交差する。

シルクロード

シルクロードを南下して、かつて鉄門と呼ばれた峻厳な山脈を越えてしばらくするとアムダリヤが見えてくる。ウズベキスタンとアフガニスタンとの国境の川だ。7世紀に玄奘が天竺(インド)へと向かった道を、ぼくらは辿っている。

アムダリアに近い町テルメズは、2002年に建都2500年祭を祝った歴史ある町。
今回のぼくらの目的地はこの町だ。

周辺を案内してくださったのは、歴史研究家のロシア人。非常に博識で、世界の動向にも驚くほど通じている人物だった。テルメズが、歴史上いかに重要な地域であるかを、ブリティッシュアクセントの上品な英語で、蕩々と語ってくださった。

テルメズは、ここから西へはローマへ、東は日本へ、南にはインドへと続く「シルクロードの十字路」だ。シルクロードの古都としてはサマルカンドやブハラの方が有名だが、郷土愛に燃える歴史研究家氏に言わせると、テルメズこそが中央アジアで最も重要な町なのだそうだ。

テルメズ郊外の畑中に立つズルマラ仏塔は、紀元4世紀頃の建立というから、恐らく玄奘もこれを見ているだろう。泥を固めただけの日干し煉瓦造りなので、風雨に打たれて今では崩壊寸前である。

周辺には、小川にそって桑の木が植えられている。

桑は蚕の餌になるから、シルクロードではどこへ行っても見かける木だ。ちょうど蚕に食べさせるために枝葉を伐採した時期だったため、桑の木は見た目が貧相だった。しかし、郷土研究家の氏に言わせると、これが生い茂った桑の木よりも「生きたシルクロード」を実感させてくれる光景だそうだ。

シルクロードに沿って、桑の葉と、それに手を入れる農民たちがいる。どこまでも、東へ、西へ、南へ。いにしえから連綿と続けられてきた営みを、今、目にしている。