関ヶ原の戦いに徳川秀忠が間に合わなかった理由は、真田軍が強すぎたからなのか?

日本


映画「関ヶ原」が公開中だからというわけではありませんが、天下分け目の合戦の直前におきた上田合戦の舞台となった信州上田城に行ってきました。

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昨年の大河ドラマ「真田丸」の舞台にもなった上田城。難攻不落のこの城を拠点に真田昌幸はわずか3000の兵を用いて徳川秀忠軍38000の兵と戦い、これを退けました。すごいことです。

当時は、六文銭をあらわした真田の赤い幟が無数になびいていたことでしょう。

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本丸の正面はなかなか立派です。
ただしこの櫓は江戸期に再建されたもの。真田昌幸が築いた建物は現存していません。

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秀忠軍は、小諸から上田に到着して、真田の城を攻撃しました。

上田城の攻略に徳川秀忠軍が手間どり、結果的に秀忠は「天下分け目の戦いに遅参した」と歴史上の笑いものになってしまいました。その一方で真田昌幸・信繁親子は「徳川の38000の兵を撃退した」と勇猛さが日本中に響きわたります。

上田城攻めは若き秀忠の判断ミスか

慶長5年(1600年)の秋、事態はこう展開しました。

  • 8月24日 秀忠が宇都宮から美濃へ出陣
  • 9月 1日 家康が江戸から美濃へ出陣
  • 9月 8日 秀忠軍と真田軍が上田で合戦。秀忠軍が大敗北
  • 9月11日 秀忠軍が美濃へ向けて移動開始
  • 9月15日 関ヶ原の合戦。秀忠は間に合わず

歴史上の通説は「大軍を擁する秀忠が若気の至りで上田城を攻めたら、真田親子が思いのほか強く手こずり、結果的に天下分け目の決戦に間に合わないという失態を演じた」というものです。

しかし、本当にそうなんでしょうか。

このときの秀忠軍には、老練な参謀の本多正信や、家康に忠実な大久保忠隣ら優秀な参謀がついていました。家康から「何があっても決戦当日までに主戦場に到着すること」と厳命されていたのですから、もし決戦に遅れそうなら参謀たちがなんとしても上田城攻めを諫めたはずです。

というのも、3000の兵力が立てこもるだけの上田城はそれほど重要な存在ではありません。それに城攻めは日数を要し、兵の損害も多いものです。美濃での決戦を目前にしてどうしてもここを攻めなければならない理由はなく、捨ておけばよいのです。にもかかわらず、なぜ秀忠軍は決戦に遅参するという重大な命令違反の可能性がありながら、上田城攻撃をはじめたのでしょうか。

天下分け目の戦いは偶然に決着した

関ヶ原の合戦にはこれ以外にも謎が多いのですが、ここでは上田の合戦にしぼって書きます。

結論から書くと、9月15日にわずか半日で決着がついた関ヶ原の合戦は、当時の人の誰にとっても予想外な結果だったのです。

両軍あわせて17万もの兵が激突する規模の戦いは、長期間続くのが普通です。徳川家康にしても、9月中旬ににらみ合いがはじまったとして敵軍を壊滅させられるのはそうとう先のことだ考えていたことでしょう。中山道を進軍する徳川秀忠軍が戦場に到着するのは9月下旬以降でよいと当初はみこんでいた筈です。

つまり、上田城を攻撃開始したときの秀忠軍の参謀たちはもてる時間に余裕があると考えていたのです。

それが、なんのはずみか関ヶ原では戦闘が始まるや、その日のうちに西軍は壊滅してしまいます。秀忠軍は、まさか自分たちが進軍中に戦が終わってしまうとはつゆほども考えていなかったことでしょう。それどころか、東軍総大将の家康自身が望外の結果にあっけにとれられたに違いありません。

天下分け目の戦いという物語ができあがる

関ヶ原の戦いは、後世からみて日本史上の重大なできごとのため「天下分け目の戦い」と呼ばれています。ぼくらはそのドラマティックな表現にまどわされているのです。

「天下分け目の戦い」「東軍」「西軍」これらの表現は、いずれも結果を見て後からそう呼ぶようになったものです。関ヶ原が物語化するとともに「東軍」「西軍」と軍記物らしい呼び名がつけられ、半日で決着がついたことがあたかも規定のことのように受けとめられていったのでしょうね。

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ともあれ、真田父子がこの城で圧倒的な秀忠軍と戦い、これを退けた武勇伝はいまも輝かしく伝えられています。

上田城へのアクセス

上田城南側の上田城跡公園駐車場は無料。
上田城西北の上田城跡駐車場は有料。こちらのほうが上田城に近い。
上田駅から上田城へは約1.2km、本丸へは徒歩20分ほど。

上田の町に残る江戸情緒

上田は宿場としても栄え、江戸時代には大名の参勤交代も通りました。当時の面影が「北国街道」の一部に残っています。

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いい感じの町並みですな。
食堂やカフェもあるのでゆっくりしていきたいです。お店を覗きながらランチ場所を選ぶといいですね。

信州上田産の「真田REDアップル」という品種のりんごを使った「アップルたまごタルト」がなかなかおいしかった。名物になるでしょうか。おみやげにパッキングして販売もしています。

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ぼくはこの場でアイスコーヒーを飲みながらアップルたまごタルトをいただきました。

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飛騨には西洋人や中国人はじめ外国人ツーリストがたくさん訪れていますが、上田は静かなものです。さすがに真田を知っている外国人はあまりいないのでしょう。

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避暑地の軽井沢から車で1時間の距離で、空気がカラリとしていますな。
ここでも初秋を涼しく過ごせそうです。

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