明るい単焦点レンズを1本バッグに入れておく 美しい一瞬を撮るために

撮影機材, ネパール

先日、ニコンやキヤノンが新しいミラーレスカメラシステムを発表した。しかし、マイクロフォーサーズ並みの高画質なレンズをフルサイズ規格で造るにはレンズの質量を4倍にしなければならないから、クオリティは高くても大きくて重いレンズがラインナップされている。旅カメラにはやっぱり軽快なマイクロフォーサーズがいいな、とあらためて思った。

というわけで、今回はパナソニックGH5を持って、ネパールの古都パナウティへ行ってきた話。

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レンズは高性能なLeica 12-60mm/F2.8-4も持ってきたけれどそれは宿に置いて、もっと軽いLumix 12-60mm/F3.5-5.6をGH5に装着して散策に出発した。換算24-120mmの使いやすい焦点レンジ。機材は軽ければ軽いほどいいからね。

上の写真のような2本の川が合流する地点は、南アジアでは「自然界の特別な力が宿る場所」として、寺院が建てられ、瞑想の場とされている。インドやネパールではガート(沐浴場)が設けられているし、バリ島ならチャンプワンという地名で呼ばれている。

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パナウティは、合流する2本の川の間にあるネワール人の町。川の外側にはチェトリ・バウンやその他の民族が住んでいる。場所は、ネパールの首都カトマンドゥから車で1時間半ほどの郊外にある。

パナウティの新市街はこのように雑多な南アジアの町という感じだが、

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旧市街は、こんなふうにのんびりとした風情が漂っている。軽快なミラーレスカメラを持って歩くのがちょうどいい。

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便利ズームレンズ一本勝負で方々を歩いて、夕方になりつつあるころにまた川の合流点に戻ってきたら、赤いサリーを来た女性たちがガートでセレモニーの準備をしているではないか。むむむ。

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いまカメラに着けているのは開放F値F3.5-5.6という暗いズームレンズだ。マイクロフォーサーズは高感度撮影に弱いから、夕方の撮影は少々つらい。あーあ、やっぱりF2.8-4の明るいレンズを着けていればよかったかなー。でもそれだって1段しか明るくならないしなー。

隠し玉があるのだ

しかし心配はいらない。実は、こういう時のために 20mm/F1.7(換算40mm)をバッグにしのばせてある。

パンケーキレンズの20mm/F1.7は、重量たったの82gと超軽量ながら非球面レンズを2枚も使って描写力がものすごく高く、ちまたでは神レンズとも賞されている高い実力を誇る。明るい単焦点レンズはズームレンズとひと味違う描写をするし、持っていると重宝する。ぼくは非常用にいつも持ち歩いている。

暗くなってきたのでレンズを付け替えて、これからは20mmII/F1.7一本勝負だ。

夕刻の美しいひとときを写真にする

ガートに置かれた燈明に火が灯され始めた。なんて美しい光景だろう。この時刻の空の色の美しさは文字で表すことができない。ただ写真に撮るしかない。この場でカメラを持っているのはぼく一人。静かにシャッターを切った。

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映画監督のスタンリー クーブリックは「1日に20分しかない」この時刻を撮影するために連日、俳優たちを1日中待機させたという逸話がある。それだけの価値のある時間帯だ。

お供えを持つ女性たち。今夜は、夏のあいだ、月に2回だけ行われるというシヴァ神を供養するセレモニーだそうだ。川の両岸に燈明が並べられて、女性たちが祈っている。

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プジャリ(祭司)がきて、マントラを唱える。

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夜7時に近くなり、あたりはだいぶ暗くなってきた。

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20mmII/F1.7一本勝負といったが、やっぱり広角レンズが必要なのであらためて12-60mm/F3.5-5.6をGH5に装着した。上の写真は、焦点距離12mm(換算24mm)、ISO800、f3.5、SS1/20。

やっぱり明るいLeicaの方を持ってきたらよかったな…などと言っても始まらない。あの機材があれば撮れた、というのは気の迷い。スナップで一番大切なのは「今ある機材で撮る」「迷わず被写体を見つめる」こと。機材は少ない方がよい。

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こんどは、燈明は背景をボカしたいから20mmII/F1.7を開放で撮影。

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「迷わず被写体を見つめる」は、フォトグラファーだけでなく画家もそうしている。若い画学生が最初に習うことは「対象をよく見る」こと。そのためにデッサンをする。すると、自分がいかに対象を見ていないかがよく分かる。写真も同じだが、写真はシャッターを切れば誰でも撮れるから「対象を分かった気分になる」ことが簡単にできるが、ほとんどの場合「ただ写っているだけの写真」ができあがる。

最後に、再び12-60mm/F3.5-5.6で撮影。現場でレンズを頻繁につけ替えるのは久しぶり。最近はレンズ交換をしないで撮影し続けるために、レンズはカメラにつけっぱなし、レンズの数だけカメラを持っていることが多い。

ぼくが軽量なマイクロフォーサーズを使っているのは、ボディを複数持ち歩いてシャッターチャンスを逃さない為でもある。フルサイズのカメラ1台持つよりも、マイクロフォーサーズを2台持った方がいい結果に繋がる。

ふだんはそうしているんだけれど、今日は気軽に1台だけ持って外出したら、レンズ交換が忙しくて仕方が無いや。やっぱり最低2台は必要だな。

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この夜、この場にいるのはほとんどが女性だった。そういえば、バリ島でもお供え物は女性が持っている。

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さらに何歩か下がって全景を撮影した。

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ああ、 なんて美しい空間だろう。

最後の写真は、手持ちでシャッタースピード0.4秒。ボディとレンズの手振れ補正を両方ともオンにして、デュアル手ブレ補正で撮影。拡大してチェックしてもぶれていない。こんなに遅いシャッタースピードを手持ちで撮れるのだからすごい時代だなあ。などと感心しながら本日の撮影は終了。

同時に儀式も終わった。