写真・イラストを無断転載されたときの対処方法を解説した本が出版されました

著作権侵害対策

残念ながら、写真やイラストなどネット上の無断転載はいまも後を絶ちません。

作品をパクられた気持ちは実に悔しいものです。この気持ちは被害者という立場に自分が置かれてみないとなかなか実感できません。特にプロの場合は精神的被害に留まらず、売上機会の損失という実損が生じるのですから、ここは損害賠償請求という形で反撃したいものです。

とはいえ、具体的にどう動けばいいのかは分かりにくいですね。

日本で初めての無断転載対策本

ぼくも3年前までは、写真をパクられてもどう対応したらいいのかさっぱり分かりませんでした。分かりやすい解説本は無いし、ネットにも具体的な指南サイトはありません。弁護士に相談したいと思ってもどこに弁護士がいるのかも分かりませんでしたよ。

暗中模索しながら裁判所に提訴して、損害賠償を勝ち取ったことをブログの記事にしたら1日で数十万人に読まれ、3年たったいまでも毎日100人近い読者が訪れる人気記事になっています。それだけ同じ思いの人が多いということですね。

自分の作品が無断転載されたら、どう対応したらいいのでしょうか? そんなクリエイターの疑問に応える対策本が、この初夏に出版されました。

著作権侵害対策本、秀和システム刊、ネットの権利トラブル解決の極意ネットの権利トラブル解決の極意、岩崎拓哉著、齋藤理央監修、秀和システム刊

実際に使えるトラブル解決ガイドブック

本書の構成は、Amazonの紹介ページに目次が載っているので見てみましょう。

ここで簡単に触れておくと

  1. 第1章 情報収集
  2. 第2章 著作権侵害された後の対応
  3. 第3章 交渉相手の特定
  4. 第4章 特定した相手と交渉する
  5. 第5章 裁判

という展開です。

第1章〜第2章までは、パクった相手にメールを送って使用料金というか損害賠償を支払ってもらう方法を詳しく紹介しています。ここまでなら、当ブログやアサヒカメラの別冊でこれまで紹介された記事と内容と重なります。そしてまともな会社ならメールを数回やりとりすれば使用料金を支払ってくれます。

しかし、世の中には一筋縄ではいかない会社やソーシャル業者が少なくないのです。

「無断転載ではなく引用なので違法性は無い。損害賠償を支払う必要はまったく無い」という返事を送ってよこす輩が少なくありません。さらに強気な業者になると「当社を中傷するなら名誉毀損で提訴します」などとぬけぬけと言ってくるから始末に負えません。「え?悪いのはこちら?」と耳を疑ってしまいます。

民事裁判までの流れを詳しく解説

そこで本書は、そのような悪徳業者に対しての対策方法が具体的に説明されています。第3章〜第5章がそれにあたります。

こういった業者はサイトに連絡先を載せていないケースがほとんどです。

どこの馬の骨とも分からない相手の所在地(個人でサイトを運営しているなら住所氏名電話番号などの個人情報)を裁判所を通じて開示する方法が詳しく解説されています。裁判所を通じてするのですから、個人情報だろうが何だろうが開示されます。

この本に従って手続きをすれば、個人情報保護法を隠れ蓑にする相手に内容証明郵便を送りつけてやれるのですから、このスッキリとした気持ちを味わってほしいものです! 

こちらは気分が晴れ晴れする一方で、個人でパクリサイトを運営していたヤツは突然厳しい要求を突きつけられてかなり狼狽するみたいですね(笑)

「ネットの権利トラブル解決の極意」のページを開いてみた

ああ、3年前にこの本があったら、あんなに苦労はしなかったのに…。

本人訴訟は誰でもできる

裁判というと高額な費用がかかると思われています。その理由のひとつは弁護士に手続きを任せるため。しかし写真1枚の損害賠償請求なら小さな事件ですから、なにも弁護士に依頼せずに自分で訴状を書いて提訴すればよいのです。

これを本人訴訟といいます。本人訴訟なら費用も数千円(賠償請求額による)ですから、金額的には負担になりません。

本人訴訟に慣れてくれば、敷金を返さない不動産会社を提訴してみたりと、いろいろと活用できます。ぼくは引越し後に不動産業者に内容証明郵便を送って敷金を20万円返金してもらったことがあります(この時は郵便を送っただけ)。

他の著作権侵害対策本との違いは?

著作権侵害対策本は、これまでにも何冊か出版されています。しかしこれまでの本は主にデザイナーやクリエイターがうっかり著作権侵害をしないための指南本という性格でした。

「引用と転載はどう違うか」「スクリーンショットは自由に使えるのか」など知っているようで知らない著作権侵害について詳しく解説してあるのですが、その一方で、著作権侵害の被害者になったときに具体的に参考になることはあまり説明されていませんでした。

「ネットの権利トラブル解決の極意」の裁判所に提訴する方法を説明したページ

執筆者は写真家の岩崎拓哉さん

執筆者の岩崎さんは夜景写真家。各地の美しい夜景を集めた夜景サイトを運営しているため、写真の無断転載被害がものすごく多くて何百枚にものぼっています。

それらパクリ業者相手に対する情報開示請求や損害賠償請求裁判を続けているうちに経験を積んで、すっかり詳しくなったことから本書の執筆に至ったそうです。著作権を得意とする弁護士による原稿チェックを受けているため内容の信頼性は高いです。

アサヒカメラで一年間連載されていた「写真好きのための法律&マナー」特集で一緒に記事に登場していたこともあって、ぼくも何度かお会いしたことがあります。

これで泣寝入りをしなくて済む

これまでに作品をパクられたカメラマンやイラストレーターの方、そしてブロガーやライターの方々。作品をパクられたのに泣寝入りをしていませんか。

あるいは、積極的になって削除申請したとしても、その後はどうなるかご存知でしょうか?  

あなたの作品がパクリサイトから削除されたとしても、そこには別の誰かの作品が無断転載されて差し替えられるのです。相手は画像があればいいので、無断転載が違法だということはまったく気にしていません。

しかも、これで一件落着ではありません。再びクレームを受けて画像が差し替えられることになったときに、ネットから探し出されたあなたの作品がまた無断転載されるかもしれないのです。

彼らが、あなたの気持ちに配慮することはありません。そういう気持ちがあるようなら無断転載で成りたつサイトを運営しているわけがない。そんな悪徳業者を社会から駆逐するには、ぼくらクリエイターが無断転載を見つける度に慰謝料を上乗せした請求書を送り、パクリサイトが成りたたないようにしていく他はないでしょう。

発売して以来、ツイッターで話題を呼んでAmazonのビジネス法入門カテゴリーで1位を続ける人気本。ネットに作品をアップするカメラマンやイラストレーターなら、手元に置いておきたい1冊です。必ず活用する機会がやってきます。

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