令和元年、写真データの保存はHDDよりもNASがいいらしいので早速導入したよ

撮影機材, 画像ソフトとMac

フォトグラファーを悩ます重要課題、それは写真の管理方法。

ぼくは、ハードディスクの容量がいっぱいになるごとに買い足していく方法を好みません。ハードディスクがたこ足状態だと、どこに必要な写真があるか探しにくいし、壊れたときの復旧作業も面倒なものになるからです。

これまでぼくはシンプルに、2台のハードディスクケースで写真を管理してきました。

写真データを保存するためにはHDDが2台必要

1台は、メインで使っているLacieのアルミ製ハードディスクケース。
ここにHGST製 4TB ×2個をストライピングして、8TBの高速HDDとしてすべての写真を保存しています。

もう1台はバックアップ用として、メインを丸ごとコピーするための8TBのHDDが1個入ったトランセンド製の黒いケース。

どちらも容量は8TBです。

しかしこの体制でも昨今は容量が80%ほど埋まり、余裕が少なくなってきました。ハードディスクは余裕がないと支障をきたすことがあるのでそろそろなんとかしないと、と思案していたら、大手ハードディスク製造メーカーのシーゲイトさんから14TBのHDD、IronWolf Pro を使ってみませんかと連絡をいただきました。

002

型番はST14000NE0008。さっそくレポートします。

高性能14TBのハードディスク

IronWolf Proは内蔵HDDです。ドライブケースは付属しません。うちには、このようなプラスティックの保護用ケースに入ったHDD単体が送られてきました。

Seagate IronWolf Pro 14TB ST14000NE0008パッケージ

14TBといえば今使ってるストレージの2倍近い容量。これがあればあと8年はHDDの心配をしなくて済みそうです(4000万画素のカメラを買わないように心がけないといけないですね)。

IronWolf Proシリーズの評判をネットでチェックすると、キャッシュが256MBで非常に高速、Crystal Diskmarkによるベンチマークは読み込み240MB/s、書き込み230MB/sをマークしています。

そして2台1組でストライピングすれば読み取り速度420MB /秒、書き込み速度340MB /秒に達するそうです。

動作温度は5〜60度。一般的なHDDより10度高いです。HDDは夏に壊れるとよく言われますが、IronWolf Proならその心配は少ないのではないでしょうか。

静音性もHGST 4TBよりも静からしい。なかなかの高性能振りで、いまある写真管理HDDを置きかえるのにふさわしい製品です。

気になる価格は、価格コムで7万円前後、AMAZONでは62000円ほどでした。

もっとも重要なことは故障しないこと

HDDを選ぶ際にもっとも重要なことは故障しないことでしょう。いくら転送速度が速くても壊れてデータにアクセスできないようでは意味がない。その点でSeagate社の製品はどうかというと、各社のHDDの故障率を比較したサイトがあるので見てみましょう。

こちらを参考にすると現在のSeagate製品は信頼性が高いようですね。いわく「8TBでは Seagete社の ST8000NM0055がHGST社の製品を抑えてトップに立っています」とのコメントが奮っています。

14TBは新製品なのでこのリストには載っていませんが、 同じように高性能だと考えてよいと思います。

製品保証は5年間、万一破損しても2年間のデータ復旧サービスがついています。Seagate製品はあのスーパーコンピューター京にも採用されているそうですから、うちのMacでも安心して使えることでしょう。

令和のデータ保存はNASがいいらしい

IronWolf Proシリーズは、単なる大容量なHDDではなくNASに最適な製品と謳われています。実はぼくはこれまで、NASといわれても、それが何を意味するかは分からない程度の知識しかありませんでした。

そこで調べたら、NASはNetwork Attached Storageの略で、SOHOやスモールオフィスに最適なデータ管理方法なんだそうです。どうやらカメラマンの写真保管にも良さそうではないですか。

HDDとNASの違いは?

フツーのHDDはパソコンとUSBケーブルなどで直結で繋ぎます。

それに対してNASはLANケーブルで繋ぎます。

家庭内LANのLANポート

ということは、家庭内LAN(ホームネットワーク)があれば、パソコンとハードディスクを別々の部屋に設置することが出来るのです。え?、それにメリットを感じない? そうかもしれませんね。でも、そのハードディスクに複数のパソコンから同時にアクセスできると聞けば、カメラマンなら俄然関心が出てくるはず。

それだけではありません。インターネットを通じて世界中どこからでもハードディスクにアクセスできるのです。いわば、自宅にクラウドを設置しているようなもの。

これによって出先からでも自分の写真のセレクトが出来るようになります。たとえ地球の反対側にいても「あの写真を貸して下さい」というこれまでは対応不可だった要望に応えられるようになるのです。もちろん写真だけでなくすべてのファイルにアクセスできます。それだけにパスワードはしっかり設定しなくてはなりませんが。

NASはパソコンが無くても機能する

もうひとつ、HDDと大きく違うのは、NASはそれ自体にOSが組み込まれているので、パソコンが無くても機能すること。ネットーワークストレージですから地球上のどこに設置してもよいのです。

スマホの写真の自動バックアップも

iOSとAndroidともにNAS上のファイルを直接扱えるアプリが多数あります。これを利用すれば写真や動画は好きなだけ自動保存できます。スマホ専用ストレージとすることも可能です。パソコンを持っていないインスタグラマーさんがそんな使い方をするかもしれませんね。

NAS用と一般用のHDDの違いNAS用HDDは24時間365日稼働している設計に対して、一般用HDDは1日5〜8時間の連続稼働を想定して設計されています。一般用HDDをNASに使うと過剰負荷で故障が早く起きることもありえます。もっとも個人のカメラマンの使い方なら心配するほどではないと思いますけどね。

NASの導入を決定

というわけでシーゲイトさんのお陰で、旅するフォトグラファー事務所でもNASを導入することにしました。NASは普通のハードディスクケースではなく、ネットワークストレージ用ケースを購入します。

各社からいろんなケースが発売されていて、どれを選んだらいいのか悩ましいですな。

DiskStation DS218j

いろいろと調べたところ、ぼくのようなNAS初心者はSynology社のDiskStation DS218jを選ぶのが適当らしいことが分かりました。性能はすこぶる良く、ここ数年は最も売れている商品みたい。現在の最安値は19000円ほど。


Synology DS218j 2ベイ

DS218jはHDDを装着するベイが2つあります。で、ぼくも当初はDS218jを用いて、2台のHDDを装着してミラーリング(RAID1)させればバックアップも同時に完了する、簡単で理想的な運用ができると思いました。

しかし、じきに、それは見込み違いだということが分かりました。ミラーリングとは、これまでぼくが思っていたようなバックアップのための機能ではなかったのです。

業務で複数の端末から同時接続するNASは、故障してアクセスできなくなる事態を避けるために、2台のHDDを装着してミラーリングさせて、1台が故障しても残る1台が転送を続けられるようになっています。これを冗長性といいます。あまり聞いたことの無い専門用語ですね。

そして冗長性とバックアップは別のことなので兼ねることは出来ないのですって。なぜかというとミラーリングは、例えば寝不足で作業しているときに誤って必要なデータを削除した場合、2台のHDDから同時に削除されてしまうから。

確かに、これではバックアップになりませんね。

DiskStation DS118

というわけでミラーリングに興味を失い、次は1ベイのSynology DiskStation DS118に目が向きました。


Synology DS118 1ベイ

使用者はぼく一人だし、冗長性は絶対必要な機能でもないです。

それにNASはその性質上、24時間365日休みなく駆動し、オフィスで複数のパソコンから同時接続され酷使されることを念頭に設計されています。NAS対応を謳うIronWolf Proシリーズは充分な高耐久性をもって設計されている筈です。それなら1ベイでもいいかなー、と。

それから、CPUがクアッドコア 1.4GHz、メモリ1GB と高性能なのもポイントです。現在の最安値は16000円ほど。同じ1ベイのDS119j/JPなら12000円ほどでなお安いですがメモリなど低性能なかんじ。

買うならDS118がいいと判断し、ポチしました。

ストレージケースには4ベイや5ベイなど一層冗長性の高い製品もあります。用途に応じて選択して下さい。

Synology DS118が到着

さっそくSynology DS118が配達されました。

Synology DiskStation DS118の箱

取扱説明書は無く、QRコードでセットアップ案内サイトに飛べるようになっています。しかし飛んだら2ベイのDS218の案内ページだったので、勝手が違います。なんとか無事にセットアップできましたが…。

Synology DiskStation DS118の取扱説明者のリンク先案内図

なかなか立派なケースです。単なるハードディスクケースなら3000円以下で買えるところを、1万5千円払ってネットワークストレージケースを選んだのですから、このくらいの見栄えの良さはほしいところです。

Synology DiskStation DS118 本体

撮影中でまだ電源をいれていませんが、ACを繋ぐとLEDが点灯します。

Synology DiskStation DS118 本体-2

DS118はケースの左右をスライドさせて開きます。他のケースとは開け方が異なります。この開け方がはじめは分からなくて、ひっくり返したり逆さにしたりして、ようやく分かった。

Synology DiskStation DS118にHDDをセットするために開く

IronWolf Pro 14TをDS118にセットしたところ。LANポートを1基、USB 3.0ポートを2基搭載しています。

Synology DiskStation DS118にIronWolf Pro 14TB ST14000NE0008をセットする-2

HDD本体にProと記されています。写真界では、カメラバッグやストラップに「Pro」と書いてあることがよくありますが、あれは子供だまし。普通、プロ用機材にプロとは書かれていないものです。けれどもHDDにProと記されていると、なんとなく本物っぽく感じます(錯覚かもしれません)。

IronWolf Pro 14TB ST14000NE0008のラベル拡大図

NASのセットアップ開始

組み立てたDS118は、とりあえずリビングルームの固定電話の横に置いてみました。

DS118をリビングルームに設置

ここに置いたのはLANポートに近いから以外の理由はありません。正式な居場所が決まるまで暫定的に置いただけです(こういうテンポラリーな置場は、しばしばパーマネントな置場になってしまうので注意したいものです)。

NASのセットアップはパソコンのインターネットブラウザでできます。うちではMacでChromeを使いました。

Synology DiskStation DS118をブラウザでセットアップする

案内の通りに進めれば簡単に設定完了。所要10分ほどです。

Synology DiskStation DS118をブラウザでセットアップする-02

NAS上のファイルをブラウズする

NAS上のデータを見る方法はいくつかあります。

ブラウザでアクセス

ブラウザのアドレスバーにhttp://find.synology.comと打ちこんで確定キーを押す。

Macでアクセス

Macのデスクトップで開くときは、Finderをアクティブにして、ショートカットキーCommand+K開いたウインドウ「セーバへ接続」のブラウズボタンをクリックすれば、NASのフォルダが開きます。下はNAS内の写真フォルダ。RAWファイルもアイコン形式で見られます。

MacのデスクトップでNASのフォルダを開く

スマホでアクセス

SynologyがiOSとAndroid向けにファイルアクセスアプリを作っています。便利なのは、アプリ設定の「画像バックアップを有効にする」をオンにすればスマホで撮影した写真は自動でNASに保存されます。データ残量が気になるなら「Wi-Fiのみでアップロード」を有効にするのがお約束。こちらに詳しく解説されています。

ほかにもWindowsでアクセスする方法もあるそうです。

スピードが遅い!どこに問題が?

さっそくDisk Speed Testを使って、リビングルームのDS118のスピードチェックをしました。すると、いったいどういうことでしょう。劇遅の11MB/sしか出ていないではありませんか。これでは20年前のデータ転送スピードではないか。

Synology DiskStation DS118にIronWolf Pro 14TBをセットしてスピード計測した

理由はすぐに分かりました。うちのマンションは築10年なんで、家庭内LANのハブが古い10/100BASE対応機器だったのです。

幸い、室内に張り巡らされているLANケーブルはカテゴリ5eで高速ギガビット対応していました。21世紀になってからの建築ならたいがいギガビット対応らしいです。これならハブを交換すればOKです。

速攻でエレコム製の100/1000BASEスイッチングハブをポチしました。
値段はAmazonで2600円ほど。

ギガビット switching hub EHC-G08MN2A-HJBギガビット switching hub EHC-G08MN2A-HJB 細部拡大写真

LANポートは8ポートあります。同時に、MacとLANポートを結ぶケーブル用に、1000BASEに対応したカテゴリ6のLANケーブルも購入。

エレコム LANケーブル 5m スーパーフラット

100MB/s達成

ハブを交換して再計測したところ、スピードは100MB/s前後でています。あと1割くらい速くてもいい気もしますが、うちではこんな感じでした。

Synology DiskStation DS118にIronWolf Pro 14TBをセットしてギガビットLANでスピード計測した

46.51GBを7分でコピーできます。スピードはまあまあですね。

Synology DiskStation DS118へのファイル転送速度

US3.0に比べたらそんなに見劣りしませんが、MacのThunderboltと比べたら転送速度は半分以下です。

Lightroomの操作感覚は変わらず

データの保存場所をNASにしても写真現像ソフトLightroomの使い勝手は変わりませんでした。転送速度は半分でも表示速度はまた別の機能だからです。1枚のRAWファイルをレタッチする際の反応時間は、これまでのHDDと比べて差は感じませんでした。

ただし写真をグリッド表示(一覧表示)するときは少し時間がかかるようになりましたね。そう感じるのはうちがThunderboltだからで、お使いのHDDがUSB3.0ならあんまり違いを感じないのではないでしょうか。たぶん。

Photomechanicの一覧表示速度は変わらず

写真ブラウズソフトPhotomechanic 5は、2400万画素のRAWでもJPGでも、表示速度はMacのThunderbolt使用時と変わりが無い。

データを丸ごとコピー

MacのバックアップソフトSync!Sync!Sync!を使って、Lacieに入ってる7TB近くのデータをDS118に丸ごとコピー開始。開始時点で、残り19時間48分30秒と表示されています。

実際にはコピー完了するまでに24時間ほど要しました。ともあれ無事に丸ごとコピー終了。

MacでSync!Sync!Sync!を使ってフォルダを丸ごとコピー

今後は、LAN接続したDS118をメインストレージにしようと思います。

MacのTime Machineは別途設定

メインHDDの7TBを丸ごとコピーした筈ですが、MacのTime Machineのデータのみが移行していませんでした。Mac から Synology NAS にバックアップを行う方法はメーカーのサポートページで説明されています。

静音性

7TBのデータを丸ごとコピー中は、DS118はカタカタボコボコとけっこう音がしました。HDDの書き込み音というよりもDS118が発する音だと思います。コピー終了後、スリープ中はほぼ無音です。またスリープ中の消費電力は3Wだそうです。

DS118のファンの回転速度はコントロールパネルで設定できます。「低ノイズモード」にしているとファンの音は深夜でも聞こえません。静まりかえった夜中に一人で作業しても、集中力を妨げる音が聞こえてこないのはいいことです。

IronWolf Pro 14TB, ST14000NE0008

以上、IronWolf Pro ST14000NE0008をSynology DiskStation DS118にセットしてのNAS導入記でした。

スポンサーリンク