クリエイターよ、著作権侵害と闘え!  いよいよ裁判が開廷

著作権侵害対策

先頃、被告からの答弁書が自宅に届いた。

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答弁書とは、ぼくが書いた提訴状に対する反論書のこと。実際に書いたのは被告の代理人である岡山市の弁護士だ。裁判は基本的にこれら書類をやりとりしながら進んでいくのだ。 この答弁書が傑作だからここで公開したい。

著作権侵害を認めない

文章をそのまま引用すると長くて硬いから要旨をまとめ、一問一答式にした。上の文がぼくが書いた提訴状の項目。 下が被告の返事だ。

【原告】スペインの旅行会社A社が、自社のウェブサイトに、原告が著作権を有する写真を2年間無断使用していたことが平成27年4月10日に判明した。

【被告】スペイン法人であるA社が、本件写真データを同社ホームページにアップロードした事実は認める。そのほかは知らない。

「写真を掲載した事実は認める。しかし、無断転載は認めないし、著作権者が誰であるかも知ったことではない」という意味の返事をもらってしまった。 こんな屁理屈をつける人たちがこの世にいるとは思わなかった。

誰も責任をとらない旅行会社

【原告】A社はB社が100%出資した子会社だ。A社の業務はB社のオフィスでB社の社員が行っている。出納も同一だ。これらの点から両者は一体だ。

【被告】A社はB社の100%子会社であることは認めるが、一体ではない。A社への請求書をB社が支払っているが、それは立て替えているだけのことである

「A社とB社は別の会社だから、B社は責任を負わない」といっている。 旅行代理店のA社のウェブサイトには「日本人が経営する現地法人。言葉も手配もすべてお任せで安心」と書いてある。しかし、実際に何か問題が起きたら「別の法人だから関係ないよ」という姿勢をとるんだね。

A社の利用規約を読むと「何か問題が起きたらスペインの裁判所に訴えてね」という主旨のことが書いてある。問題が起きたらスペインまで提訴しに行かないといけないのか……これでは何が安心なのかさっぱり分からない。ぼくならこんな誰も責任をとらない会社に旅行を申し込むことは絶対にしない。

それから「支払いを立て替えているだけ」って言ってるけど、そんな言い訳が通るのかなあ? 

著作権侵害があったか否か、いつまで調査中なのか

【原告】被告は、著作権侵害を指摘されてすぐに当該Webページを削除した。それは自らに非があると認めているからだ。にもかかわらず原告からの問合せを一切無視した。

【被告】被告は、著作権侵害があるか否かを調査・検討していたものであって無視していたのではない

この点は電話でB社社長に直接訊いたし、提訴状の別項目でも問いただした。

しかしあれから1年経ってもまだ「著作権侵害があるか否か調査・検討している」ということは、このままシラを切り通すつもりらしい。いつまでもそう言って逃げ続けるのは男らしくないな>B社社長。

このあともいくつか答弁が続くけど、言い訳ばかりで大したことが書いてないから省略する。

ヘンな書類が同封されているし

「A株式会社」という会社名を名乗るには法務局に登記されていなければならないから、登記簿謄本を見せてくれと要望を出した。すると、スペイン語の書類かなにかのコピーを送ってきた。

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日本語訳もつけずにこんなものを送ってきても、裁判官はスペイン語が読めないから証拠にはならない。何のためにこんなものを送ってきたんだろう?  無駄な仕事が多い人たちだ。 送ってくるなら日本の法務局の登記簿謄本を送ってきてくれ。でも、ないものは送れないよね。

やはり、ずさんな答弁書だった

先月、当のB社社長からコメントをいただいたことは先の記事で書いたとおり。 「無料画像のなかから選んでいるという社員と取引先の言葉を信じ、正当に主張し法廷での判断をあおぎたいと考えております。もちろんその証拠はそろえてございます」とのことだった。

ぼくの返事は「ヘンな書類を出してきたら世間の笑いものになるからよく考えたほうがいいですよ」だった。ちょっとキツイ書き方をしたけど、このくらい書かないと中身のあるものがでてこないだろうなー、と思ったので。 では、送られてきた書類を読んでみよう。被告の主張は要約せず引用してある。

【原告】無料画像だといいはる証拠が 『Yahoo!で検索語「セビリア 無料画像」をいれてヒットしたのが当該写真だった』 という程度の主張なら話にならない。「無料」で検索したものがすべて無料で手に入ると思い込んでいるとしたら社会人とは思えない思慮の浅ささで、被告に賠償責任が問われるだけの落ち度があることはこれにより明白になった。

【被告】A社担当者は、同社ホームページの立ち上げに当たり、検索サイト「YAHOO! JAPAN」で「セリビア 無料画像」のキーワードで画像検索をしたところ、4頁めに赤丸で囲まれた写真データがヒットしたことから、無料画像であると考え、これをダウンロードし、自社ホームページ上にアップロードしたものであって、同人に過失があるとは認めがたい。

ぼくが「笑いものになるからやめた方がイイよ」とわざわざ書いているのに、性懲りもなく同じ主張を繰りかえすとは、あきれた社長と弁護士だ。 提訴状には「無料画像と主張するだけでは無料にならない」との判例を事件番号つきで載せているのにこの始末。弁護士は訴状をちゃんと読んでいるのかね。

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笑わせてもらったよ。 些細なことだが検索キーワードは”セリビア”ではなく”セビリア”だ。事務所の3人で推敲しているのに間違えんなよ→弁護士 このような人たちだからこそ著作権侵害をしても平然としているのだなあ。

墓穴を掘った社長

B社にコンプライアンスを求めても無駄なことがよく分かった。

今後、この裁判は「無断で写真を使用したのはスペイン法人の子会社だから、B社は関係ない」と逃げの手をうつ被告(B社と弁護士)に対して、逃げるな!とぼくがどこまで迫れるか、という進行になる。これはなかなか難しいな〜。

B社社長は一見真摯に「正当に主張し」と語っているが、実のところ争点は著作権侵害ではない。彼らは外国法人の子会社をつかって責任を回避しようとしているから、ぜんぜん真摯ではない。裁判は、このような裏表のある建設会社 B社の姿勢を問うものになる。 したがって、この裁判はどんな判決が出てもB社社長の負けである。

ぼくが勝訴すればもちろん、たとえ敗訴したとしても、それは「A社はB社の子会社だから安心」という看板が偽りであり、問題が起きたら逃げる会社であることを社長みずから証明したことになるからだ。

誰も責任をとらない旅行会社とは怖ろしいね。

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