国境に架かる橋を渡って、スペインへ歩いて5分のプチ旅行に行く

ポルトガル

ポルトガル鉄道ヴァレンサ ド ミーニョ駅からタクシーで5分。ヴァレンサの町の入口はこうなっています。狭いですね(笑)。

ポルトガルの要塞都市ヴァレンサ(バレンサ)の入口

ヨーロッパでもアジアでも、歴史ある町は城壁に囲まれています。外敵の侵入を防ぐためです。ロンドンもパリも北京もかつてはそうでした。それら大都市では城壁はとうに取り壊されていますが、ここポルトガルのヴァレンサ(バレンサ)のような小さな町では今も城壁が往年の姿を完全に保っています。

ポルトガルとスペインは幾度も戦火を交えているので、国境の町バレンサはスペインからの攻撃に備えて幾重もの城壁が作られ、要塞化しました。見てください。この鉄壁の城塞(石造りですが)。

バレンサの城郭

二重三重に城壁が築かれています。多いところでは四重になっている部分もあります。よほど大規模な戦闘があったのでしょうか。

要塞都市は意外に普通の町だった

要塞の中にある町並み。みたところ普通の町です。そこに不思議さを感じます。

ヴァレンサ(バレンサ)の町並み

日中はスペインからの観光客で賑わっていて、レストランやショップも混雑しています。今やバレンサを訪れるツーリストの9割はスペイン人なのだそうです。21世紀のバレンサはスペイン人観光客に「占領された」状態で、それで潤うポルトガル人も喜んでいるので、平和な時代はいいものですね。

日曜日なので市民によるアトラクションもありました。ポルトガル兵が行進しています。ふつうのおじさん達の仮装なのでぜんぜん強くなさそうです。スペイン人観光客にウケて、写真をバシバシ撮られていました。

バレンサ 006

城郭都市バレンサは、ミーニョ川のほとりにあります。城壁に立つと対岸にスペインの町トゥイが見えます。

城郭都市ヴァレンサ(バレンサ)からミーニョ川を挟んで対岸の町トゥイを眺める

今日は朝から天気が冴えなくて、トゥイの町並みが霞んでいます。それにしても、こんなに近くに敵の町があるのですねえ。この川が国境だと知らなければ、バレンサとトゥイはひとつの町ではないかと錯覚するほど近くにあります。

“双子都市"トゥイに向かって大砲が備えてあります。

城郭都市ヴァレンサ(バレンサ)からミーニョ川を挟んで対岸の町トゥイに大砲が向けられている

その昔、ポルトガルとスペインの戦がはじまったらこの大砲がバンバン撃たれたことでしょう。大砲の近くでは、観光客のスペイン人の家族が対岸のスペインを眺めていました。どんな会話をしているのでしょうね。

星形要塞

バレンサは、函館の五稜郭と同じ星形要塞をしています。バレンサが特徴的なのは星形要塞が2つ連なっていること。後から拡張したらこうなったのでしょうかねえ?

星形要塞バレンサ(ヴァレンサ)

日本では、要塞(城)は純軍事施設で、そのなかには軍人(武士)しかいないものです。民間人は「城下町」といって城の外に住んでることは、皆さんもよくご存知だと思います。いくさは武士がするもので、民間人は遠くから見ているだけです。

しかし外国では、バレンサのように城のなかに女子供を含む民間人が住んでいて、庶民の生活が営まれています。いざ、攻城戦が始まったら矢面に立つのは兵士ですが、武器の修理や食糧供給は庶民の役割です。軍人と民間人が一体となって敵の侵入を防ぐのです。

昔は、陥落した町の住民は勝者になぶりものにされ、奴隷として売られて一家離散したり殺されたりすることが珍しくないので、民間人といえども必死で町を守ります。現代の戦争でも一般民衆が被る被害はそれは悲惨なものですけれどね。

国境にかかる橋を歩いて渡る

今では、国境のミーニョ川には橋が設けられて、両国の往来は簡単にできます。この橋は2段式で、上が鉄道、下が自動車道路になっています。バレンサの城塞の北端から、橋と対岸がよく見えます。

スペインとポルトガルの国境を流れるミーニョ川に架かる橋

橋のたもとはこんな様子。狭いですが歩行者通路もあります。

スペインとポルトガルの国境を流れるミーニョ川に架かる橋の歩道部分

歩行者通路を渡ると、中間地点にこんなプレートが掛けられていました。

スペインとポルトガルの国境を流れるミーニョ川に架かる橋から見た国境線

Eがエスパーニャ(スペイン)、Pがポルトガルです。この写真を撮ってるぼくは、左半身がスペインに、右半身がポルトガルにいることになります。

橋を渡りきったら、スペイン王国ガリシア州に入ります。

スペインに入国右下の未舗装道はミーニョ川沿いの遊歩道に通じている。左の自動車道はトゥイの町へ。

青地にESPAÑAの標識が待ち受けていて、スペインにやってきた感が増しますね。標識の下の路上には黄色い矢印が描かれています。これはサンティアゴ巡礼路のサインで、巡礼路の目的地を表していることは当ブログの読者ならご存知ですよね。きっと。

スペインに入国した標識

今日は天気が冴えませんが、川沿いの遊歩道を歩いていたらとうとう雨粒がパラついてきました。7月のスペインは雨が降らないものなのに、ぼくがスペインに入国したとたんに雨に見舞われるとは、ハズレの無い晴れ男としては心外な出来事です。天気にクレームしてもしかたないですが、いったいどうしたのかなー。

さて、ミーニョ川の対岸から、ポルトガルの要塞都市バレンサを眺めます。さきほどぼくが立ったのはあの城壁の左側です。

ミーニョ川のスペイン側から見た城郭都市バレンサ(ヴァレンサ)

かつてはあそこからここに砲弾がバンバン飛んできたことがあったのでしょうか。バレンサの町のWebページを見たのですが、歴史について詳しく書かれていなくて、よく分かりません。ここで古のつわもの達に思いを馳せようと思ったのですが、雨が降ってきたので、さっさとポルトガルへ戻ることにしました。

ミーニョ川のスペイン側から見た城郭都市バレンサ(ヴァレンサ)02

晴れていたら、トゥイの町へも遊びに行ってみたかったのですけどね。

来たときと同じ道を通って、20分後にはもうバレンサの城壁に到着しました。

バレンサ(ヴァレンサ)から対岸の町トゥイを眺める

ここでもスペイン人が自国を眺めています。

しばらく川を眺めていたら、だんだん明るくなり、雨がやみました。対岸のトゥイがくっきりと見えてきます。

バレンサ(ヴァレンサ)から対岸の町トゥイの全容を眺める

ぼくはこれまでに、何十回も国境の川を歩いて越えました。チベットからネパールへ、タイからラオスへ、どの川も越えたとたんに空気が変わりました。「国境を越える」という行いには独特の情緒があるものです。しかし、ヨーロッパはすでに国境検問を廃止ししているので、ミーニョ川を渡るということは世田谷区から多摩川を渡って川崎市へ行くくらいの意味合いしかないのですが、それでも、橋を渡ると一種独特の空気の違いを感じます。

この違いを感じるのが好きで、ぼくは旅を続けているのです。

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