西チベットの幻の遺跡、グゲ王国のふもとの村に泊まる

チベット

カイラス山からさらに西へ、国道219号線から県道に入ってざっと300kmほど走ると17世紀までこの地で栄えたグゲ王国の遺跡がある。ここまでの道路はすべて舗装されている。
グゲ王城では、ふもとのツァパラン村(通称グゲ村)に泊まった。半農半牧の小さな村で、遺跡から徒歩30分ほどの距離にある。村内に3軒の民宿があり、外国人にも人気が高い。

ぼくが泊まったのは徳吉家庭旅社という名の民宿。

中庭が菜園になっていて、ここで採れた野菜が食事の献立になる(こともある)。

部屋は簡単なつくりだが清潔。
共同のシャワーがあって、お湯がでる。
チベットにしては居心地がたいへんよいゲストハウスだ。

食事は家の娘が適当に作ってくれる。
デザートのスイカは中庭で採れたもの。

この辺りは標高3500mしかないから、日中はかなり暑い。
9月でもTシャツ1枚で過ごせる。夜もそれほど寒くならない。

グゲ王国は10世紀頃にラサの政変を逃れてきた王族が築いた王国だ。政治と文化に優れた国で、一時はチベットの中心地となるほどの勢いがあった。彼らがどうしてこの土地に王国をつくったのか、来てみたら分かった。チベットにしては気候が穏やかで過ごしやすいのだ。そしてインドとの交通の便もよい(現在は国境が完全に閉ざされているが)。

丘の上にあるグゲ王国遺跡まで、民宿のお祖母さんが使っているという農作業用の電動バイクを使わせてくれるというので、翌朝はそれで行くことにした。プラドの運転手さんにはゆっくり寝ていてもらうことにする。

試運転しようとしたが、キーを差し込んで回しただけではエンジンがかからない。宿の娘に聞いても「お祖母さんしか使っていないから」と分からないし、プラドの運転手さんにも分からない。お祖母さんはどこかへ行って帰ってこない。

みんなでさんざんあちこち探して、ようやく運転手さんが右手のブレーキにあたる位置に小さなロックがあることをみつけて解除した。わかって見れば何でもない。さっそくバイクに跨がってエンジン始動。見よこの勇姿。

明日はこれに乗って朝日のあたるグゲ王国を見にいこう。後部にカメラと三脚を置けるスペースがあって丁度よい。それにしてもとうとう、チベットのこんな奥の方までやってきた。「グゲに滞在している」なんて、伝説の王国にやってきたみたいでワクワクする。

夜は天の川が出現した。
空気は澄んでいるが、砂塵もあるためか、太平洋の島から眺めるほど瑞々しい眺めではなかった。