楽しい時間はすぐに終わる。東京からパリまでの12時間のフライト

旅行情報

成田空港を飛び立ったエールフランス275便は、数分後には九十九里浜を越え、太平洋上空で大きく旋回して機首を北西に向けた。

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今飛び立ったばかりの成田空港の上空を通り過ぎる。続いて、高崎、新潟上空をとんで、本州をたったの20分ほどで横断したら日本海にいたる。

ここからパリまでの飛行時間は約11時間ほど。そのほとんどはロシアの上空を飛んでいる。本州の上を飛ぶ時間に比べて圧倒的に長い。一日の半分になんなんとする時間をシベリア上空で狭いエコノミー席に座って過ごすのだ。

ぼくはエコノミー席であろうとも飛行機に乗っているのが好きなのだが、この時間を、窮屈だとか、長過ぎるとかいって嫌がる人が案外と多い。 ぼくにはどうしてたかだか12時間ぐらいのあいだ我慢ができないのかさっぱりわからない。体が硬いのか、それとも精神が硬いのか。 こらえ性がないというか、なんというか。 そんなお客を退屈させないために座席ごとについている液晶モニターの質も最近はどんどんよくなってきた。AF275便のモニターは画面が大きく、暗部が潰れず、見やすくて映画をよく楽しめる。

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少し前までの機材は液晶モニタの質が悪く、暗部が潰れていたため、夜や暗がりのシーンでは画面全体が真っ暗でほとんどなんの映画だかわからないことがあった。

けれどもぼくは、機内では映画はあまり見ないで文庫本を何冊か持ち込んで読んでいることが多い。何しろ12時間もずーっと座って他に何もしないでいられるのだ。文字が好きな者にとってはたまらない、至福の時間だといってよい。

いぜん、椎名誠らが責任編集をしていた本の雑誌に、「出勤したら机に座って1日中本を読んでいればよいという会社はないものかな」という活字中毒者の希望が書かれていた。毎日は無理でも、ヨーロッパ便ならずっと読書をしていられるのだから、活字が好きな人にとっては嬉しい旅だ。

しかし、楽しい時間というのは短いものなのだなぁ。
12時間の飛行時間はすぐに終わり、AF275便はパリに着いた。